EUが「欧州製」優遇策を検討、EV・脱炭素製品で日本企業は懸念の声
EU「欧州製」優遇策検討、日本企業は懸念 (20.02.2026)

EUが「欧州製」優遇策を本格検討、EV・脱炭素分野で保護主義懸念も

欧州連合(EU)が、域内で生産された「欧州製」製品を優遇する新たな政策の検討を加速させている。特に電気自動車(EV)や太陽光発電システム、省エネ空調機器などの脱炭素関連製品を中心に、安価な中国製品の攻勢に対抗し、欧州産業の競争力強化を図るのが主な目的だ。しかし、この動きに対しては、日本をはじめとする域外企業から強い懸念の声が上がっている。

具体的な優遇案と産業加速法の提案

現在検討されている案では、公共調達や政府補助金の対象となる製品について、部品調達における「欧州製」の比率に一定の基準を設けることが想定されている。例えば、EVや再生可能エネルギー機器などの調達において、一定割合以上の欧州製部品を使用した製品を優先的に購入する仕組みだ。これにより、欧州域内のサプライチェーン(供給網)を強化し、産業基盤の安定化を目指す考えである。

行政機関である欧州委員会は、この政策の軸となる「産業加速法」を今月下旬にも正式に提案する予定となっている。同法は、欧州の戦略的重要分野における自立性と競争力確保を目的としており、域内生産の促進を後押しする内容が盛り込まれる見通しだ。

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日本企業からは保護主義への懸念表明

こうしたEUの動きに対し、在欧日系企業で構成される「在欧日系ビジネス協会(JBCE)」は昨年11月、公式声明を発表して懸念を表明した。声明では、従来は自由貿易を推進してきたEUが「保護主義に陥る可能性がある」と指摘。日本のように民主主義や法の支配など基本的価値観を共有するパートナーを排除しないよう強く求めた。

日本企業にとって、EU市場は自動車部品や高技術製品の重要な輸出先であり、新たな優遇策が実施されれば、競争条件が不利になる恐れがある。特にEVや脱炭素技術の分野では、日欧間の協力関係が深まっているだけに、市場アクセスの制限は双方の経済関係に悪影響を及ぼす可能性が高い。

背景にある中国製品の圧力と欧州の対応

EUが「欧州製」優遇策を検討する背景には、中国企業による安価なEVや太陽光パネルなどの大量流入がある。中国製品の価格競争力は欧州メーカーにとって大きな脅威となっており、産業の空洞化を防ぐためにも域内生産の保護が必要との認識が広がっている。

しかし、保護主義的な措置が過度になれば、国際貿易のルールに反する可能性も指摘されている。世界貿易機関(WTO)の原則に照らせば、不当な差別的措置は貿易摩擦を招くリスクがあるため、EUは慎重なバランスが求められる局面にある。

今後の展開としては、欧州委員会の提案内容が明らかになる今月下旬が重要な節目となる。日本政府や経済界は、EU側に対話を通じた解決を働きかける方針で、自由で公正な貿易環境の維持を訴えていく構えだ。国際的なサプライチェーンが複雑に絡み合う現代において、保護主義的な政策がもたらす波及効果は計り知れず、関係各国の注視が続いている。

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