エア・カナダCEOが9月末で退任へ 英語のみの弔意メッセージが批判の的に
カナダ航空最大手のエア・カナダは3月30日、マイケル・ルソー社長兼最高経営責任者(CEO)が第3四半期末となる9月末で退任すると正式に表明しました。この決定は、同氏が先月起きた自社系旅客機事故に関する弔意メッセージをほぼ英語だけで出したことに対する広範な批判が背景にあります。
事故対応をめぐる言語問題が火種に
問題の発端は、米国ニューヨークの空港で3月22日に発生したエア・カナダ系旅客機の事故です。この事故でカナダ人の機長と副操縦士が死亡しましたが、ルソーCEOが公開した追悼の動画メッセージがほぼ英語のみで構成されていたことが大きな論争を引き起こしました。
カナダは英語とフランス語を公用語としており、エア・カナダはフランス語圏であるケベック州モントリオールに本社を置いています。同社は法的に両言語でのサービス提供が義務付けられており、死亡した機長もフランス語を話すケベック州出身者でした。
わずか4分の動画が引き起こした大波紋
ルソーCEOが公開した追悼動画は約4分間で、冒頭の「ボンジュール(こんにちは)」と最後の「メルシー(ありがとう)」以外はすべて英語で話され、フランス語字幕が付けられただけでした。この対応は、遺族への配慮に欠けるとして即座に批判が噴出しました。
ケベック州議会は全会一致でルソーCEOの辞任要求を決議し、ジャスティン・トルドー首相も「良識と共感に欠ける」と強い失望を表明する事態に発展しました。カナダ国内では、公用語であるフランス語を軽視した対応として、メディアや市民からも非難の声が相次ぎました。
多言語国家における企業責任が問われる
この問題は単なる言葉遣いの問題を超え、多言語国家カナダにおける企業の社会的責任が大きく問われる事象となりました。エア・カナダのような国を代表する企業には、文化的多様性への配慮が特に強く求められています。
同社の広報担当者は「現在、後任のCEO選定プロセスを進めており、適切な時期に発表する予定です」と述べるにとどまり、具体的な後任候補については明らかにしていません。業界関係者からは、今回の教訓を踏まえ、より文化的感受性の高いリーダーが選ばれる可能性が高いとの見方が出ています。
エア・カナダは今後、この問題による経営への影響を最小限に抑えつつ、公用語を尊重した企業姿勢を明確に示す必要に迫られています。カナダの航空業界では、言語問題をめぐる企業統治の在り方が改めて注目されることになりそうです。



