現場から日本の音楽、海外で響け 奮闘の舞台で…言葉や国境は「壁」ではない
2026年5月14日 6時00分 有料記事 オースティン=奈良部健
SXSWで日本のアーティストたちがステージに立った=2026年3月13日、米オースティン、奈良部健撮影
日本の音楽を世界に広めようと、奮闘する日本人がいる。ただ、日本文化の代名詞ともいえるアニメやゲームと比べると、音楽の存在感は薄い。それでも、立ちはだかっていた「言葉の壁」は、AI(人工知能)の広がりとともに崩れつつある。残る壁は何か。乗り越える戦略はあるのか。
SXSWでの挑戦
米南部テキサス州オースティンで3月、音楽やテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)」が開かれた。世界中から集まるアーティストたちがライブを行う「世界への登竜門」ともいわれる。街中に点在するライブステージの一つで、日本のアーティスト6組が登場するイベント「TOKYO CALLING(トウキョウ・コーリング)」があった。
ライブでは日本のアーティストの多くが、異口同音にステージ上から語りかけていた。「僕たちは英語ができません」「日本語の歌なんだけど……」もしも英語が話せたらと、多くのアーティストが悔しさをにじませた。
AIがもたらす変化
しかし、AIの進化が状況を変えつつある。リアルタイム翻訳技術の向上により、日本語の歌詞を英語に変換し、観客に伝えることが可能になってきた。さらに、AIによる歌声合成や多言語対応の音楽制作ツールも登場し、言語の壁を低くしている。これにより、日本のアーティストは自らの言葉で歌いながら、世界中のリスナーにリーチできるようになってきた。
残る壁と戦略
それでも、言葉以外の壁は依然として高い。日本の音楽業界は国内市場に依存する傾向が強く、海外向けのプロモーションやマーケティングが十分ではない。また、海外の音楽シーンにおけるネットワークや人脈の不足も課題だ。こうした壁を乗り越えるためには、現地のフェスティバルへの積極的な参加や、現地アーティストとのコラボレーションが有効だろう。さらに、日本政府や関連団体による支援も重要だ。
アニメやゲームのように、日本の音楽が世界で認められる日はそう遠くないかもしれない。その鍵は、AIを活用した新たな戦略と、アーティスト自身の挑戦にかかっている。



