米政府機関の雇用機会均等委員会(EEOC)は5日、有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に対し、白人男性従業員1人が人種や性別を理由に昇進から不当に除外されたとして、ニューヨーク連邦地裁に提訴した。トランプ政権は多様性・公平性・包括性(DEI)施策に反対しており、DEIを重視する大学や企業に圧力を強めている。
提訴の経緯と内容
EEOCによると、この男性従業員は不動産業界の取材で豊富な経験を持っていたが、2025年に不動産担当の副編集長ポストの面接で最終選考に残れなかった。採用されたのは、業界取材経験が乏しい白人以外の女性だったという。EEOCはこの採用決定が人種と性別に基づく差別に当たると主張している。
トランプ政権の反DEI姿勢
トランプ政権下でEEOC委員長に就任したルーカス氏は声明で、「人種や性別による採用や昇進の決定は連邦法に違反する。『多様性』を理由にした例外は一切認められない」と強調した。トランプ政権は連邦政府機関や民間企業に対し、DEIプログラムの廃止を求める大統領令を発出するなど、反DEI政策を推進している。
NYTの反論
NYTの広報担当者は、男性従業員によるEEOCへの申し立てを「政治的な動機に基づくものだ」と批判し、DEI施策は合法的で公平な人事を目的としていると主張している。同紙は多様性を重視する編集方針を堅持する姿勢を示している。
背景と影響
この訴訟は、トランプ政権の反DEI政策の一環として、メディア業界にも圧力が及んでいることを示している。EEOCは過去にも、DEIプログラムを実施する企業に対して調査や訴訟を起こしており、今回の提訴はその流れを強めるものとみられる。専門家は、この訴訟が企業の人事政策や多様性推進の取り組みに広範な影響を与える可能性があると指摘している。



