中国経済の光と影:杭州六小竜の躍進と隣町のEV在庫野ざらし問題
杭州六小竜の躍進とEV在庫野ざらしの現実 (04.03.2026)

中国経済の二面性:ハイテク躍進と足元の課題

2026年3月5日、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開幕する。この重要な政治イベントを前に、中国経済は「自立自強」を掲げるハイテク分野の躍進と、過当競争による企業疲弊という二つの顔を露わにしている。特に浙江省杭州市とその周辺地域では、その光と影が鮮明に対照的に現れている。

杭州六小竜:新興テック企業の急成長

杭州市はIT大手アリババ集団の本拠地として知られるIT産業の集積地だ。ここでは世界が注目する新興テック企業が次々と育っており、中でも特に注目される6社は「杭州六小竜」と呼ばれている。

市中心部には新興AI企業「ディープシーク(深度求索)」の本社がオフィスビルに構える。看板こそ目立たないが、確かにこの地で人工知能技術の開発を進めている。

さらに車で30分ほどの場所には、新興ロボット企業「宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)」の本社がある。ここでは人型ロボットを囲んだ商談の様子や、大型四つ脚ロボットが歩き回る光景が見られる。同社のロボットは旧暦の大みそかにあたる2月16日、中国国営中央テレビ(CCTV)の番組で宙返りなどのアクロバティックな技を披露し、人間顔負けの機敏さとバランス感覚を世界に示した。

他にも、脳と機械を接続する技術「ブレーン・マシン・インターフェース」で注目されるユニコーン企業「強脳科技(BrainCo)」など、革新的な技術を開発する企業が続々と台頭している。これらの企業は中国政府が推進する「自立自強」政策の象徴的存在となっている。

隣町の現実:EV在庫の野ざらし問題

しかし、杭州市に隣接する嘉興市では全く異なる光景が広がっている。2026年1月末、新興EVブランド「哪吒汽車(NETA)」を運営する合衆新能源汽車の本社工場では、在庫とみられる電気自動車が野ざらしのまま敷地いっぱいに並べられていた。

これらの車体は風雨にさらされ、汚れが目立つ状態だ。EVメーカーが経営難に直面している可能性を示唆するこの光景は、中国経済の足元における課題を如実に物語っている。過当競争による企業の疲弊が深刻化する中、生産された車両が適切に販売・管理されていない現実が浮き彫りになっている。

全人代への期待と課題

習近平指導部が全人代でどのような政策方針を示すかが注目される。ハイテク分野での「自立自強」を推進する一方で、経済減速傾向や過当競争による企業疲弊といった現実的な課題への対応が求められている。

浙江省を舞台にしたこの経済の二面性は、中国全体が直面する課題の縮図と言える。技術革新と経済成長を両立させながら、持続可能な発展を実現するための政策が模索される中、今後の中国経済の方向性が問われている。