東京大学医科学研究所などの国際研究チームは7日、タイの野生コウモリから新型コロナウイルスの近縁ウイルスを複数検出し、そのゲノム(全遺伝情報)を分析した結果、東南アジアでウイルスが大規模に移動している可能性が示唆されたと、米科学誌「セル」に発表した。
研究の背景と目的
新型コロナウイルスは、コウモリから別の動物を介して人に感染したとの見方が強い。将来のパンデミックに備えるため、研究チームはタイのコウモリを対象に、未発見のウイルスを探索した。
検出されたウイルスの特徴
調査の結果、未発見の新型コロナ近縁ウイルスが複数見つかった。そのうち1系統のウイルスを人工合成して分析したところ、人への感染能力がある一方、新型コロナウイルスよりも病原性が低く、増殖しにくいことが判明。既存のワクチンや抗ウイルス薬も有効であった。
地理的分布と移動経路
この近縁ウイルスのゲノム情報を地理的に分析した結果、中国・雲南省やラオス北部からインドシナ半島へ持ち込まれ、タイに広がったと推定される。多様なウイルスが出現する一因として、東南アジアでの大規模なウイルス移動が考えられるという。
今後の展望
研究チームは「研究の継続が次の感染症の世界的大流行(パンデミック)への備えになる」と強調。継続的な監視と解析が重要だとしている。



