愛知・岩倉市の私設資料館、3000点の民族楽器で「音楽とは何か」を問う
愛知・岩倉市の私設資料館、3000点の民族楽器で音楽を問う

愛知県岩倉市八剱町にある私設資料館「舩橋楽器資料館」は、3000点を超える世界の民族楽器を収蔵している。現在は事実上休館しているが、北インドの弦楽器「シタール」や南米アンデスの「チャランゴ」など、ここでしか見られない楽器が保管されている。この貴重な収蔵品をどう守っていくのか、資料館の鍵を開けてもらった。

住宅地に突如現れる資料館

住宅と畑が混在する地域に突如として現れるのは、白い壁と赤い屋根が特徴的な2階建ての資料館だ。2階ロビーにはステンドグラスもあしらわれた立派な建物で、展示室に入ると珍しい楽器がずらりと並ぶ。アルマジロの甲羅で作られたボリビアのハープ「アルパ」や、人間の形をしたアフリカの鍵盤楽器「リケンベ」など、音楽の教科書や本でしか見たことがない楽器が展示されている。

マンドリンの原型と言われる「マンドリーナ」や、三線の原型と伝えられる「三弦」もあり、展示品からは現代の楽器の成り立ちが伝わってくる。

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開館の経緯と現在の状況

資料館は三味線奏者でもあった故・舩橋靖和さんが1992年に開館。世界中の民族と交渉して収集した楽器を保存・展示するために開設された。会社の退職金に加え、借金もして開設費に充てたという。舩橋さんが資料館造りのコンセプトとしたのは、「人間にとって音楽とは何なのかを民族楽器を通して実感し、考え、楽しむ場所にしたい」というもの。遠方からも多くの楽器愛好家が訪れた。

しかし、舩橋さんは7年前に81歳で他界。以降、妻の美智枝さん(80)が「せっかく(夫が)集めたし、この楽器はどこにでもあるようなものではないし」と、年金を切り崩しながら施設を維持している。運営までは手が回らず、知人に限って公開している状況が続いている。

支援の輪が広がる

楽器愛好家の前田敏郎さん(72)は昨年、「良い場所があるから心に留めてもらえませんか」と知人に誘われ初めて訪問。見たことのない楽器の数々に感動した。以来、電気料金を肩代わりし、楽器の散逸を防ぐため資料館の維持に協力。昨冬には支援金を集めるチャリティーイベントも開いた。

今月17日には3回目となるイベント「春だ百花爛漫」を開催。午前11時から6時間半以上にわたり、出演者に二胡や馬頭琴といった民族楽器を演奏してもらう。ラジオパーソナリティーの河原龍夫さんも出演し、前田さんもフォークグループの一員としてトリを飾る。この日は館内を自由に見学でき、会場に募金箱を設置し寄付金を運営費用に充てる。演奏者も500円払ってステージに立つという。

「とにかく1人でも多く資料館にある民族楽器を見てもらいたい」と前田さん。美智枝さんは「こんな企画をしてもらい恐縮。とてもありがたい」と話している。

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