難民認定を受けたアフリカ出身の男性が、日本国籍取得を目指す帰化申請を不許可とした国の処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地方裁判所は2026年5月12日、男性の請求を退ける判決を言い渡した。裁判長は、男性の日本語能力が日常生活に支障をきたさない水準にあるとは認められず、国籍取得の要件を満たしていないと判断した。
訴訟の経緯と判決の内容
判決によると、男性は2013年に日本に入国し、2015年に難民と認定された。その後、帰化申請を行ったが、2020年と2022年の2回にわたり不許可となった。男性側は、国籍法の帰化要件に日本語能力は明記されておらず、「法定されていない条件を考慮することは許されない」と主張していた。
しかし、岡田幸人裁判長は、国籍法に規定された帰化要件は必要条件に過ぎず、外国人の帰化を認めるかどうかは国に裁量権があると指摘。その上で、行政側の判断に違法性はないと結論付けた。
国籍法と日本語能力の関係
国籍法第5条は帰化の要件として、引き続き日本に住所を有すること、素行が善良であること、自己または生計を共にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができることなどを定めているが、日本語能力についての直接的な規定はない。しかし、法務省の実務では、帰化申請者には日常生活や社会活動に支障のない日本語能力が求められることが一般的である。
今回の判決は、こうした行政の裁量を尊重する立場を示したものと言える。
今後の影響
本判決は、難民認定を受けた外国人の帰化申請における日本語能力の重要性を改めて浮き彫りにした。今後、同様の事例においても、日本語能力の水準が厳格に審査される可能性がある。男性側は控訴するかどうか検討しているとみられる。



