NTT島田明社長、光電融合技術IOWNで世界市場に挑む
NTTの島田明社長が、読売新聞の取材に応じ、同社が開発する光と電気を融合した次世代通信技術「IOWN(アイオン)」について語った。島田社長は、この技術がデータセンター(DC)の消費電力削減などで活用されることに期待を示し、「世界で十分勝ち筋はある」と自信を述べた。インタビューは、スペイン・バルセロナで開催された世界最大級の通信機器・技術展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の会場で実施された。
AI時代のデータセンターにおけるIOWNの使命
島田社長は、AI(人工知能)処理で使用されるデータセンター市場について、NTTが世界3位の事業者であると説明。この市場はAIの牽引により毎年約20%成長すると予想されており、特にAI向けDCで使われるサーバー内の画像処理半導体(GPU)は膨大な電力を消費し、熱処理が大きな課題となっている。
「我々は使命として、DCに関するサービスを提供しながら、光と電気を融合した機器を使って電力消費を落とし、熱を抑えていく。そうしないと、持続可能ではない」と島田社長は強調。IOWN技術により、電力消費を2032年までに従来比100分の1に削減するロードマップを示し、サーバー内の基盤や半導体回路を電気から光に置き換えていく計画を明らかにした。
光電融合技術の競争力と世界展開
世界的に光電融合技術の発表が活発化する中、島田社長は「今はまだ、NTTの商品の方が圧倒的に容量も大きいし、歩留まりも良いと思う。十分勝ち筋はある」と述べ、競争力に自信を示した。具体的には、2026年度中にサーバー内の基盤を光でつなぐ機器「光電融合スイッチ」を販売し、サーバーメーカーに納入する予定だ。
また、提携した米ブロードコムはスイッチング半導体メーカーとしてナンバーワンであり、「彼らが我々を選んだということは、それだけの品質があるということだ」と評価。これにより、IOWN技術の信頼性と市場での優位性を強調した。
データセンター需要の拡大と課題
データセンターの需要については、景気動向に関わらず、データ駆動型社会への移行により増加が続くと予測。しかし、米国で巨大なDC計画が相次ぎ、電力供給が課題となっている点を指摘。「DCの横に発電所を作ると言っても時間がかかるだろう」と懸念を示しつつも、世界のDCの40%を占める米国市場で後れを取るわけにはいかないと述べ、関与の可能性を検討中だと明かした。
世界的な展開では、インドでシェア1位を獲得している一方、北米、欧州、アジアでは同規模で事業を展開。韓国通信最大手SKテレコムとの連携については、AI学習においてDCの場所が重要でなく、GPU計算能力を共有する世界観が十分にあると説明し、国際協力の可能性を示唆した。
島田社長は、IOWN技術が持続可能な社会実現に貢献し、世界市場でリードすることを目指すと締めくくった。このインタビューは、次世代通信技術の進化とグローバル競争の行方を映し出す貴重な機会となった。



