次世代通信IOWN、九州で実証 ライブ映像遅延わずか0.015秒で新時代を開く
約900キロ離れた東京都内から福岡市に送られるライブ映像が、まるで相手がその場にいるかのように自然な会話を可能にしました。伝送遅延はわずか0.015秒で、人間には認識できないレベルです。これは、NTTドコモビジネス九州支社で昨年末に行われた次世代通信規格IOWN(アイオン)の実証実験で確認されました。
IOWNとは何か? 既存技術を大幅に上回る性能
IOWNは、最先端の光技術を活用した次世代情報通信基盤の構想で、NTTが開発を進めています。既存の光ファイバーと比較すると、最大でデータ量は125倍、遅延は200分の1に抑制され、機器の電力効率も飛躍的に向上するとされています。この技術革新は、通信インフラの新たな基準を打ち立てるものです。
九州支社長のビジョン:未来のまちづくりを牽引
吉田優子・九州支社長は、「IOWNで世界を牽引し、未来をつくるまちづくりを実現したい」と強調します。都市インフラとして普及すれば、自動運転、ロボット、AI(人工知能)、遠隔医療など、暮らしを変革する先端技術の普及が大きく前進すると期待されています。これにより、利便性向上や産業発展に不可欠な高速・大容量通信が実現される見込みです。
九州での広がり:研究開発拠点と産業団地への導入
九州では、IOWNを活用した動きが活発化しています。まず、大手商社・住友商事や西日本鉄道、西部ガスなどの企業グループが優先交渉権者に選ばれている九州大学箱崎キャンパス跡地(福岡市)の再開発では、IOWNを使った研究開発を行えるイノベーション拠点が設けられる予定です。このプロジェクトは、スマートシティーを理念に、商業・観光交流拠点、医療・健康増進施設、共同住宅などを備え、2028年度に第1期の街開きを目指しています。2036年度の完成予定で、地域経済への波及効果が注目されています。
さらに、東急不動産は、物流の一大拠点である佐賀県鳥栖市で開発する産業団地にIOWNの導入を検討し始めました。同社は、スタートアップが集積する東京・渋谷のまちづくりに深く関わっており、渋谷の高層ビルでもIOWNを導入した実績があります。鳥栖では、団地敷地内外での完全自動運転を想定した産業都市構想を掲げており、担当者は「次世代通信によって、渋谷のスタートアップが遠隔で実験できる実証フィールドを整備する」と明かしています。これにより、地域間連携が強化され、新たなビジネスチャンスが創出される可能性があります。
これらの取り組みは、IOWNが単なる通信技術の進化にとどまらず、九州全体の産業発展や地域活性化に貢献する基盤としての役割を果たすことを示しています。2026年現在、実証段階を経て、今後さらなる普及が期待される中、九州は次世代通信のフロントランナーとしての地位を確立しつつあります。



