常石造船社長、政府目標に懸念表明
造船業界の中堅企業である常石造船(広島県福山市)の奥村幸生社長は4月13日、東京都内で記者会見を開き、政府が掲げる2035年の国内船舶建造量倍増目標について、深刻な課題を指摘した。
人手不足が最大の障壁
奥村社長は、2035年までに日本の年間船舶建造量を2024年から倍増させるという政府目標に対して、「人手の確保が非常に難しく、自社単独での建造量倍増は現実的に困難である」と率直な見解を述べた。
政府は造船業界への支援強化を打ち出しているものの、常石造船としては労働力不足が大きなハードルとなっており、目標達成への道のりは険しいとの立場を明確にした。
中東情勢悪化による原材料危機
さらに奥村社長は、中東地域の情勢悪化に伴うナフサ(石油化学製品の原料)の供給懸念についても強い危機感を示した。
塗料メーカーからナフサの供給が停止される可能性が伝えられており、「もし中東情勢の悪化が長引けば、ナフサ不足により造船事業だけでなく、海運事業そのものも成り立たなくなる恐れがある」と懸念を表明した。
グループ全体の成長戦略
常石造船を傘下に持つ常石グループは、2035年12月期の連結売上高を2025年12月期の約2.3倍となる8000億円とする野心的な目標を掲げている。
この目標達成に向けて、主力である造船事業に加えて、廃棄物処理や観光事業などの多角的な事業拡大を図る方針を示している。
グループ全体としての成長は追求するものの、造船部門単体では人手不足という構造的な課題が重くのしかかっている状況が浮き彫りとなった。



