シンナー調達難で製造業が悲鳴、ホルムズ封鎖が日本のものづくりを直撃
原油の供給不安が、日本のものづくりを支える現場に深刻な影響を及ぼしている。中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖が続く中、原油から精製されるナフサの調達が困難となり、ナフサ由来の石油化学製品である工業用シンナーの価格高騰や供給制限が相次いでいる。中小企業の経営を圧迫するこの事態は、日本の製造業全体に大きな懸念を投げかけている。
販売量50%制限と大幅値上げ、現場は混乱
東京都内の中小製造業の男性社長は、連日のように取引先から供給制限や値上げの連絡を受けている。工業用シンナーは、素材のさび防止に使う油を拭き取るために不可欠なものであり、男性は「シンナーが入手できないと仕事にならない」と切実な声を上げる。卸売業者の中には、有機溶剤の販売数量を前年比50%までに制限するケースや、シンナーの大幅な値上げを示唆する業者も現れており、現場は混乱に陥っている。
「中東情勢の影響でまさかシンナーが入手困難になるとは思わなかった。調達できなければ材料の溶接すらできず、生産活動が停止してしまう」と、男性は不安を隠さない。この供給不安は、単なる価格問題ではなく、製造プロセスそのものを脅かす深刻な事態となっている。
ナフサ不足が化学製品全体に波及、予測不能な影響
イラン情勢を背景に、世界中でナフサ調達難による化学製品の減産や生産停止が顕在化している。国内でも、出光興産が化学製品のエチレンを減産するなど、影響が広がりつつある。ポリエチレンや樹脂加工製品など、幅広い素材の流通にも波及しており、製造業のサプライチェーン全体が揺らいでいる。
住友商事グローバルリサーチの鈴木直美シニアアナリストは、「ナフサは川下の裾野が広く、どこにどのような影響が出るのか予測しにくい」と警鐘を鳴らす。一つの素材の不足が、全体の生産を停止させる可能性も指摘されており、経済全体への波及効果が懸念される。
政府の対応と残る不安、対策本部を設置
経済産業省の担当者は3月30日の会見で、「精製過程から出るナフサを含めて4カ月はある。当面は流通が止まる事態ではない」と供給不安を打ち消した。しかし、日本化学工業協会などに石油関連製品の安定供給を要請し、31日には厚生労働省と連携して、ナフサを原料とする医薬品や医療物資の安定確保を図る対策本部を立ち上げた。
それでも、ナフサ不足への根強い不安は、流通の目詰まりを引き起こす可能性がある。中小企業を中心に、在庫確保のための動きが活発化しており、需給バランスのさらなる悪化が危惧されている。
この状況は、日本の製造業がグローバルなサプライチェーンの脆弱性に直面していることを浮き彫りにしている。ホルムズ封鎖が続く限り、シンナー調達難は解消されず、現場の悲鳴はさらに高まる可能性が高い。政府や業界団体による迅速な対策が求められる中、製造業の現場では日々の業務を維持するための苦闘が続いている。



