老舗酒蔵が看板商品を「NIKITATSU」に刷新、香り重視の精米技術と新デザインで世界へ挑戦
老舗酒蔵が「NIKITATSU」に刷新、世界へ挑戦

老舗酒蔵が看板商品を「NIKITATSU」に刷新、世界市場へ挑戦

松山市道後地区に本社を構える老舗酒蔵「水口酒造」は、看板商品であった「仁喜多津(にきたつ)」を新ブランド「NIKITATSU」に全面刷新し、純米大吟醸酒を含む新たな4商品の販売を開始しました。この大胆なブランド再構築は、海外市場における日本酒の需要拡大を視野に入れた戦略的な動きであり、10年後には海外売上を現在の水準から20~30%に引き上げることを目標としています。同社は「世界から道後に足を運びたくなるブランド」へと磨き直すことを宣言し、伝統と革新を融合させた新たな挑戦を始めました。

「今やらないと遅い」、6代目蔵元の決断

「日本酒全体の消費が落ち込んでいる。ブランド再構築を今やらないと遅いんです」。今月4日に行われた新商品発表会で、6代目蔵元の水口皓介社長(38)はこう強調しました。水口酒造は1895年創業の歴史ある酒蔵で、万葉集で額田王が詠んだ伊予の港「熟田津(にぎたつ)」にちなんだ「仁喜多津」をはじめ、「仁喜多津 純米吟醸酒 さくらひめ酵母」「道後蔵酒」「道後ビール」などを製造販売してきました。

しかし、同社の売上は長らく道後温泉の観光需要に支えられてきたものの、人口減少や若者の酒離れを背景に国内の日本酒市場が低迷。日本の「伝統的酒造り」や「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された追い風も一時的なものに終わり、近年では酒米価格の高騰が経営を圧迫しています。販売先の約7割以上が道後地区に集中し、松山市内で9割近くを占める一方、愛媛県外はわずか5%に留まり、「仁喜多津」の正しい読み方が認知されないなど、ブランドの知名度は限定的でした。

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現代的なデザインと香り重視の技術で革新

こうした課題を打破するため、同社は道後以外での売上を約5年で半分に増やすことを目指し、ブランド再構築に乗り出しました。特に注目されるのが、輸出拡大を見据えたボトルデザインの刷新です。従来の日本語ラベルを貼る伝統的なデザインから、道後温泉発見の伝説に登場するシラサギや、道後温泉本館最上部の太鼓楼「振鷺閣」をモチーフとした現代的なイメージへと大胆に変更。道後の空気感を表現したデザインは「家に飾ってもらえる」自信作となり、視覚的な魅力を大幅に向上させました。

さらに、香りを重視した酒造りを追求するため、米粒を楕円形に保ったまま削る「扁平精米」の技術を導入。この技術により、従来の精米方法では失われがちな米の香り成分を最大限に引き出すことが可能となり、味わい深い日本酒の創造に成功しています。

「暖簾を破れ」の家訓で未来を見据える

水口酒造には「暖簾を守るな、暖簾を破れ」という家訓が受け継がれており、これは伝統を継承しつつも常に新しいことに挑戦する精神を表しています。水口社長は「道後から世界へ、世界から道後へ」という目標を掲げ、「今まで温泉ありきで観光客に来ていただいたが、『我々の酒があるから道後に行こう』というマインドにチェンジしていただけるよう努力したい」と語り、先を見据えた経営姿勢を示しました。

新ブランド「NIKITATSU」の立ち上げは、老舗企業が時代の変化に対応し、グローバル市場で存在感を高めようとする意欲的な試みです。伝統的な酒造りの技を礎に、デザインと技術の革新を図る同社の取り組みは、地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。

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