日銀の早期利上げ路線に暗雲、首相のリフレ派起用と中東情勢で視界不良
日本銀行の早期利上げ路線に暗雲が漂っている。2月に政府が示した2人の新たな審議委員候補は、いずれも大胆な金融緩和を志向する「リフレ派」とされる。市場では政策金利の引き上げに消極的な高市早苗首相の意向が反映した起用で、利上げのハードルが上がったとの見方が強まっている。さらに緊迫化する中東情勢も景気に悪影響を及ぼしかねず、日銀の先行きは視界不良の状況が続いている。
リフレ派とされる新委員候補の起用
新委員の候補は、中央大学名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大学教授の佐藤綾野氏だ。浅田氏は過去の取材で「インフレ目標達成まで中央銀行が国債を購入して無制限に資金を供給するのは当然だ」と語っており、金融緩和への積極的な姿勢を示している。佐藤氏も2023年の講演で、日銀総裁に就任する直前だった植田和男氏に対し「アベノミクスの方向でやってもらいたい」と注文を付けた。両氏とも緩和的な姿勢が目立つことから、日銀内での利上げ推進派との対立が懸念されている。
中東情勢の緊迫化が新たな懸念材料に
日銀にとって新たな懸念が米国とイスラエルによるイランへの攻撃だ。原油などのエネルギー市況が高騰すれば、輸入依存度の高い日本では物価上昇が想定される。また、「有事のドル買い」から円安が進んでいることも物価の押し上げ要因となり、インフレ圧力が強まる可能性がある。こうした外部要因が景気悪化を招けば、日銀の利上げ判断はさらに複雑化する。
市場関係者からは、首相の意向が反映されたリフレ派の起用により、日銀の政策決定会合での議論がより慎重になるだろうとの指摘が出ている。早期利上げを求める声と、景気悪化リスクを懸念する声の間で、日銀は難しい舵取りを迫られることになりそうだ。



