タサキ新CEOリシャール・コラス氏が語る「欧州の模倣ではなく独自の道を進む」戦略
タサキ新CEOが語る「欧州の模倣ではなく独自の道」 (04.04.2026)

タサキ新CEOリシャール・コラス氏が語る「欧州の模倣ではなく独自の道を進む」戦略

日本の高級真珠ブランド「タサキ」のグローバルCEOに、2026年3月にリシャール・コラス氏(72歳)が就任しました。同氏は1995年から2018年までシャネル日本法人のトップを務め、作家としての顔も持つ人物です。フランスブランドを日本で広める役割から、日本ブランドを世界に売り込む立場へと転身したコラス氏に、就任直後の抱負を聞きました。

「まるでクリスマスプレゼントのような話」就任の経緯

コラス氏は就任の経緯について、「数カ月前まで、自分がこのポジションに就くとは全く想像していませんでした」と語ります。きっかけはパリに住む友人からの電話でした。その友人はヘッドハンターでもあり、「あなたにぴったりの仕事がある」と伝えてきたのです。

「私は仕事を探していたわけではありませんでした」とコラス氏は強調します。「50年間この業界に身を置き、そのうち40年をシャネルで過ごしてきました。ようやく一区切りついたと思っていたところだったのです」。

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しかし、タサキの話を聞いたとき、強い関心を抱いたといいます。「創業者の田崎俊作さんを以前から知っていて、穏やかで魅力的な人物だという印象がありました。そして何より、これまでとは逆の仕事になることに魅力を感じました。フランスのブランドを日本で育てるのではなく、日本のブランドを世界に届ける。この挑戦に大きなやりがいを感じたのです」。

「年齢を重ねてからの挑戦が新鮮」急な展開に驚き

就任のプロセスは非常に急な展開だったとコラス氏は振り返ります。「ちょうどクリスマス前で、まるでプレゼントのような話でした。もちろん面接のプロセスはありましたが、このような形で『来てほしい』と言われる経験は初めてでした。年齢を重ねてからの新たな挑戦として、とても新鮮な気持ちです」。

「強い土台を持つタサキに尊敬の念」ブランドへの印象

タサキというブランドや創業者、社員たちに対する印象について、コラス氏はまず「尊敬」という言葉を挙げます。「創業者には明確なビジョンがあり、それをもとにこの会社を築いてきました。その歴史に対する深い敬意があります。そしてタサキは、非常に強い土台を持っている会社です」。

「自社の養殖場があり、アトリエがあり、職人の技がある。ものづくりのすべてを自分たちで完結できる。これは世界的なブランドでも、実はなかなか持てない強みです」と指摘します。

また、今回会長に就任した前社長の田島寿一氏についても言及。「田島さんはデザイナーとしてタクーン・パニクガルを起用し、『バランス』などのヒット商品を生み出しました。その功績は大きく、しっかりと引き継いでいきたいと考えています」。

さらに印象的だったのは社員たちの姿勢だと語ります。「自分のブランドを愛し、商品を愛し、会社を愛している人が多い。新卒から入社して長く働いている方も多く、その積み重ねがブランドの力になっていると強く感じました」。

「重要なのは欧州のまねをしないこと」グローバル戦略の核心

コラス氏が強調するのは、タサキのグローバル展開における独自性です。「重要なのは、欧州のまねをしないことです。タサキには他にはない強みがあります。真珠という素材に対する深い理解、自社で一貫したものづくりができる体制、そして日本の美意識に根ざしたデザイン哲学。これらを世界に伝えていくことが私たちの使命です」。

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シャネル時代の経験を活かしつつも、単なる模倣ではなく、タサキらしいアプローチを追求すると語ります。「フランスブランドを日本で育てた経験は確かにありますが、それはあくまで参考です。タサキはタサキとしての道を進まなければなりません。真珠の美しさ、日本の職人技、創業者の哲学——これらを世界にどう伝えるかが課題です」。

具体的な戦略として、物語の伝え方に重点を置くことを明かします。「単に商品を売るのではなく、その背後にある物語を伝えることが重要です。なぜこの真珠が特別なのか、どのようにして生まれたのか、どのような想いが込められているのか。これらの物語を世界の顧客に届ける方法を模索しています」。

「新たな挑戦にワクワク」今後の展望

72歳での新たな挑戦について、コラス氏は前向きな姿勢を見せます。「この年齢で新しい仕事に就くことは、確かに珍しいかもしれません。しかし、これまでの経験を活かしつつ、全く新しい視点でタサキの可能性を広げていきたい。フランスブランドを日本で成功させた経験と、日本ブランドを世界に広める挑戦——この二つを結びつけることで、新たな価値を生み出せるはずです」。

最後に、タサキの未来についてこう語りました。「真珠は単なる宝石ではありません。自然の恵みと人間の技が融合した芸術品です。タサキはその真価を世界に伝える使命を担っています。欧州の成功モデルを追うのではなく、日本ならではのアプローチで、真珠の新たな可能性を開拓していきます。これからの挑戦に、心からワクワクしています」。