西武渋谷店が9月末に閉店、渋谷から百貨店消滅の危機 若者文化の歴史に幕
西武渋谷店閉店で渋谷から百貨店消滅の危機

西武渋谷店が9月末に閉店、渋谷から百貨店が消える可能性も

百貨店大手のそごう・西武は3月25日、西武渋谷店(東京都渋谷区)を2026年9月末に閉店すると発表しました。周辺の商業施設との競争激化で収益が悪化し、再開発を巡る地権者との賃貸借契約で合意に至らなかったことが理由です。これにより、「若者文化の発信地」として約半世紀以上にわたる歴史に幕を下ろし、若者の街・渋谷から当面、百貨店が姿を消すことになります。

閉店の背景と経緯

営業を終了するのは、婦人服や化粧品などを扱う「A館」と紳士服などの「B館」などです。周辺の再開発を巡り、2024年7月に土地と建物を所有する地権者から店舗の明け渡しを求める通知を受け、賃貸借契約の継続に向けて交渉を続けていましたが、最終的に合意できませんでした。そごう・西武はコメントで、「当社の要望はかなわなかった。お客様、地域の皆様、関係者の皆様にご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と述べています。

一方、自社で所有する隣接の「ロフト館」や、無印良品が入る「モヴィーダ館」は営業を継続する予定です。

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歴史と売上高の推移

西武渋谷店は旧セゾングループの旗艦店として1968年にオープンしました。エルメスなどの海外有名ブランドの導入に加え、若手日本人デザイナーの発信に注力し、「DCブランド」ブームの先駆けとなるなど、渋谷の流行やファッション文化の中心的な役割を担ってきました。売上高は1990年度にピークの967億円を記録しましたが、その後は減少傾向にあります。

しかし、渋谷駅周辺では2012年に複合商業施設「渋谷ヒカリエ」が開業するなど再開発が本格化。2019年には「渋谷スクランブルスクエア」が開業し、消費者の百貨店離れやインターネット通販との競争が激化しました。その結果、売上高は2025年度に234億円とピーク時の約4分の1に減少し、2016年度からは営業赤字が続いていました。

渋谷の百貨店事情と将来展望

そごう・西武は、渋谷店の閉店で都内の店舗は西武池袋本店の1店舗のみとなります。経営資源を集中させる方針ですが、池袋店は現在改装中で今夏以降に全面オープン予定です。ただし、家電量販店「ヨドバシカメラ」の出店に伴い、百貨店の売り場面積は半減させる見込みです。

渋谷駅周辺では、東急百貨店が2020年に東横店を、2023年に本店を閉店しており、いずれも再開発で複合ビルへの建て替えが進んでいます。親会社の東急などは百貨店の再出店を明言しておらず、渋谷に百貨店が一つも残らない可能性が指摘されています。

専門家の見解

消費文化に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は、「一部の百貨店は訪日客需要や外商で存在感を保っているが、若年層を中心にブランドや体験重視の消費行動が広がり、総合型業態は選ばれにくくなった。商業施設やエンタメが集積する渋谷では特に顕著だ」と分析しています。この指摘は、西武渋谷店の閉店が単なる個別事例ではなく、消費トレンドの変化を反映していることを示唆しています。

西武渋谷店の閉店は、渋谷の街の変容と百貨店業界の課題を浮き彫りにする出来事となりそうです。今後、地域の商業環境がどのように変化していくか、注目が集まります。

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