三井住友トラストAM、2つの1兆円ファンド構想でリテール市場を成長の柱に
三井住友トラストAM、1兆円ファンド2本でリテール市場強化

三井住友トラストAM、リテール市場を成長の柱に据える戦略を展開

三井住友トラスト・アセットマネジメントの小林隆宏社長(52歳)は、個人向け資産運用市場において「1兆円超のファンドを二つ創出する」という野心的な目標を掲げている。昨年10月に前社長の菱田賀夫氏(62歳)からアジア最大級の資産運用会社を引き継いだ小林社長に、この目標に込められた戦略的意図と具体的な計画について詳しく聞いた。

機関投資家の強みをリテール市場に活かす

同社は年金資産の運用など機関投資家向け業務で高い市場シェアを誇るが、小林社長は個人向けリテール市場への本格参入を宣言した。「機関投資家向けビジネスの重要性は変わらないが、『資産運用立国』政策の後押しやNISA(少額投資非課税制度)の定着により、個人の長期的資産形成が社会的テーマとして広がっている」と指摘する。

「この追い風を最大限に生かし、リテール市場を新たな成長の柱として強化したい。ファンドの大型化によるスケールメリットで運用効率を高め、安定的な収益基盤を構築する。国内基盤を厚くした上で、その実績を踏まえて海外事業の展開も強化していく方針だ」と語った。

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社内一体感の醸成と具体的なファンド戦略

社長就任後、小林氏は「ホンネの会」と題した社員との対話の場を定期的に設けている。10人程度の社員と約1時間半の率直な意見交換を行い、新経営陣の考え方を理解してもらい、社員の信頼獲得を図っている。「一人ひとりの社員が新たな目標を『腹落ち』し、組織の一体感を高めることが極めて重要だ」と強調する。

1兆円超ファンドの具体策として、まずバランス型ファンド「世界経済インデックス」の残高拡大を挙げた。「機関投資家向けで培ったノウハウを個人向け資産運用に最大限活用する。複数資産を組み合わせたバランス型運用は当社の得意分野であり、様々なリスクへの対応余地が大きく、長期資産形成に適した商品だ」と説明する。

もう一つの1兆円ファンドについては、社内で活発な議論が続いているという。自社のアクティブ型ファンドを拡大すべきとの意見や、テクノロジーファンドなど運用実績のある商品を強化すべきとの提案など、様々な選択肢が検討されている。

新商品の好調と業界順位向上への意欲

昨年12月に市場投入した新シリーズのファンドは、わずか1か月で100億円超の資金を集める好調なスタートを切った。特定の業種やテーマにこだわらず、時勢に応じて勢いのある銘柄を選定・入れ替えるシンプルな仕組みが評価され、ファンド紹介動画はインターネットで約57万回再生された。

業界順位については「公募投信の預かり残高は現在6位だが、早期に5位以内に入り、将来的には3番手を目指せる規模に成長させたい」と意欲を見せる。最も重視するのは「顧客の資産形成の土台となる運用商品の提供」だと語る。

販売会社向けには「三井住友トラスト オンエア」サービスを提供し、相場変動時や市場関連イベント発生時に、迅速な情報提供と営業支援を行っている。「地道な活動だが、基本に忠実に販売会社との接点を増やし、サポートを強化していく」と述べた。

小林社長の経歴と会社概要

小林隆宏氏は1998年に郵政省(現総務省)入省後、三井不動産を経て2004年に旧住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入社。2018年に三井住友トラスト・アセットマネジメント総合企画部副部長に就任し、経営企画部長、執行役員を経て2025年10月から現職を務めている。

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三井住友トラスト・アセットマネジメントは三井トラストグループの中核資産運用会社として、2025年12月末時点で115兆円の運用残高を誇り、アジア最大級の規模を有する。機関投資家向け投資顧問業務が98兆円、個人向け投資信託業務が17兆円となっている。個人や年金基金、保険会社などから預かった資金を株式や債券などに投資し、個人向け投資信託については商品開発と運用を担当、販売は主に銀行や証券会社を通じて行われている。