国内大手航空会社の全日空(ANA)が5月19日から、国内線のルールを大きく変更した。安い運賃では事前に座席指定ができなくなるなどの変更があり、ANA利用者から「LCC(格安航空会社)みたい」「健全な制度」など賛否両論の声があった。
3種類の運賃
エコノミークラスの運賃は、安い順にシンプル、スタンダード、フレックスの3種類になった。予約時に座席の指定ができるのは、スタンダードとフレックスのみ。シンプルは、24時間前のオンラインチェックインから指定できる。
料金は、スタンダードはシンプルより2千~4千円ほど高い。時々実施されるセールの運賃もシンプルと同じ扱いになる。
預けられる荷物は、どの運賃でも3辺の合計が203センチから、合計158センチになった。重さはエコノミー席は1個23キロ、ファーストクラスは32キロになった。シンプルとセールは、預けられるのは1個のみに変わった。追加で預けるには、1個5500円かかる。
運賃がかからない幼児の年齢は「2歳まで」から「1歳まで」になり、すべての搭乗者は予約時に生年月日が必要になった。
利用者の反応は…
新ルール初日となった19日、羽田空港でANA利用者に聞いた。
出張で佐賀へ帰る男性(68)は、シンプル料金で航空券を購入した。18日の上京のときは事前座席指定ができたが、19日の復路はチェックインのとき通路側が1席しかなく、「(制度が)厳しくなったと感じた」という。新千歳から到着した男性会社員(53)は、「出張が多く、いつも安い運賃なので席は早めに確定したい。元の制度に戻して欲しい」と語った。
一方、シンプルではない運賃を選んだ利用者からは肯定的な声も聞かれた。家族旅行で沖縄へ向かう女性(42)は「スタンダードにしたので特に不便はない。安い運賃に制限があるのは理解できる」と話した。また、LCCを頻繁に利用するという男性(29)は「ANAもLCCに近づいてきて、選択肢が増えたのは良いこと。必要に応じて運賃を選べるのは健全な流れだ」と評価した。
今回の変更について、航空業界アナリストは「ANAはコロナ禍以降の需要回復に対応し、収益性を高めるため、運賃の簡素化と付帯サービスの有料化を進めている。LCCとの差別化を図りつつ、低価格帯の需要も取り込む戦略だ」と分析する。一方で、ビジネス客からは「出張で急な予定変更が多く、柔軟な運賃が必要」との声もあり、今後の利用動向が注目される。



