猛暑に強い果物開発へ、中部6大学がスマート農業で共同研究開始
猛暑に強い果物開発へ、中部6大学が共同研究

猛暑でも品質のよい果物を安定的に出荷できるよう、名古屋大学など中部地方の国立6大学からなる研究共同体(コンソーシアム)が、最新技術を活用した「スマート農業」による温暖化対策の研究を本格的に開始した。背景には、「現状を放置すれば、現在の産地で栽培している果物が50年後には全く作れなくなる」という研究者たちの強い危機感がある。気候変動を見据え、新たな品種開発や産地の移転につなげる構想だ。

スマート農業とは

スマート農業は、農家の高齢化や人手不足を背景に、農作業の省力化や生産性向上を目的として農林水産省などが推進してきた。近年は人工知能(AI)が進化し、カメラやドローン、人工衛星で作物や農場を撮影し、品質や生育状況を分析する技術が急速に発展している。

コンソーシアムの概要

2024年に発足した中部地方の国立大学などによる連携組織「C²―FRONTS(シー・フロンツ)」の取り組みの一環として、今年1月に研究が始動した。参加するのは名古屋大学、岐阜大学、三重大学、信州大学、静岡大学、豊橋技術科学大学の6大学で、各県の公設試験場の協力も得る。まず各地域の課題をまとめ、2027年度以降に研究・開発を進め、その後の実用化を目指す。

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温暖化が果樹栽培に与える影響

温暖化により果樹栽培の適地は北上しつつある。例えばミカンについては、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が2025年3月、最悪の場合、今世紀末には現在の国内全てのミカン産地が栽培に適さない環境になるとの予測を公表した。静岡県では、ミカンの代わりにアボカドやバナナなどの熱帯作物の栽培を自治体が支援する動きが広がっている。

中部地方には、ミカンのほかにも長野県のブドウやリンゴ、岐阜県のカキ、愛知県のイチジクなど特産の果物が豊富にある。既に温暖化の影響は顕在化しており、ブドウやカキの色づきの悪化や害虫の繁殖といった報告が上がっている。

研究の具体的な内容

コンソーシアムの構想では、AIや精密カメラ、ドローン、人工衛星を活用して、生育状況や温暖化の影響を可視化する。果樹が高温に耐えられるようにする品種改良のほか、産地の北上が避けられない場合の代替地の選定につなげる。また、生産者の負担軽減策として、自動収穫ロボットの開発なども検討する。

各大学には独自の知見や研究の蓄積がある。名古屋大学大学院生命農学研究科の土川覚教授らは、キウイを切らずに中身を調べるAI技術を確立した。精密なカメラで表面を撮影し、可視光線と近赤外線で状態を推定するもので、品種改良や農場での生産管理に応用したい考えだ。

果樹栽培の特性と対策の難しさ

栽培サイクルが短い野菜や穀物と比べ、果樹は数年かけてゆっくりと温暖化の影響が現れるため、対策にも長い時間がかかるとされる。コンソーシアムの中心となっている名古屋大学の岩佐精二特任教授は「日本の果物はレベルが高い。中部地方各地の課題を持ち寄り、力を合わせて科学的に解決したい」と語る。

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