近畿地方のM&A件数が過去最高を更新 カーブアウトと事業承継が主要因に
調査会社のレコフデータが発表した最新データによると、2025年に近畿地方の企業が関わったM&A(企業合併・買収)の件数が、過去最高となったことが明らかになりました。売り手または買い手が近畿2府4県に所在する企業の取引を調査した結果、前年から100件以上増加し、874件に達しました。金額の合計は2兆6840億円と、過去10年間で3番目の規模を記録しています。
大企業の経営資源集中がカーブアウトを促進
件数増加の背景には、大企業による「経営資源の集中」を目的としたカーブアウトの動きが活発化していることが挙げられます。具体的には、日本たばこ産業(JT)が子会社の鳥居薬品を含む医薬事業を塩野義製薬に売却した事例や、パナソニックホールディングスが住宅設備機器を扱う子会社「パナソニックハウジングソリューションズ」をYKKに売却した事例などが該当します。このようなカーブアウトによるM&Aは合計85件に上り、全体の約1割を占めています。
中小企業の事業承継が過去最多に
一方、中小・零細企業を中心に、後継者が見つからない場合の事業承継としてM&Aを活用するケースも大幅に増加しています。2025年には140件と過去最多となり、10年前と比較すると3倍以上に拡大しました。帝国データバンクの調査によれば、近畿2府4県の企業における後継者不在率は46.5%と半数近くに達しており、深刻な課題が浮き彫りになっています。
地方銀行が事業承継ファンドを設立するなど、以前よりもファンドへの警戒感が薄れてきており、M&Aが事業承継の選択肢として定着しつつある状況です。レコフデータの担当者は「高市政権も中小企業の事業承継やM&Aの環境整備を進める方針を示しており、2026年も件数は高水準で推移する見込みだ」とコメントしています。
この傾向は、企業経営の効率化や世代交代の促進といった構造変化を反映しており、近畿地方の経済動向に大きな影響を与え続けると予想されます。カーブアウトによる事業再編と、事業承継を目的としたM&Aの二つの流れが、地域経済の活性化に寄与している様子が窺えます。



