大企業の景況感は改善も、イラン情勢で先行きに暗雲
日本銀行が4月1日に発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回の昨年12月調査から1ポイント上昇し、プラス17となりました。これは4四半期連続の改善で、堅調な人工知能(AI)関連需要などが支えとなっています。大企業非製造業のDIもプラス36を維持し、当面の景気は底堅さを見せています。
先行き指標は悪化、エネルギー価格上昇が懸念材料に
しかし、収束が見えないイラン情勢を反映し、3カ月後の先行きDIは大企業製造業が3ポイント悪化のプラス14、大企業非製造業が7ポイント悪化のプラス29を見込んでいます。調査の回答締め切りは3月12日であり、エネルギー価格の上昇に伴うコスト負担増といった影響が十分に反映されていない可能性があります。このため、中小企業を中心に直近の景況感はさらに悪化している恐れがあります。
中小企業は原油高騰の直撃、経営環境が一段と厳しく
日銀短観では、中小企業の先行きDIも大企業と同様に悪化しており、全産業で6ポイント悪化のプラス7となりました。イラン情勢の影響が重くのしかかる結果となっています。
クリーニング店の苦悩、コスト増で価格転嫁が困難に
相模原市南区でクリーニング店「AKランドリー」を経営する三橋崇子さん(50)は、原油高騰による経営圧迫に頭を悩ませています。ドライクリーニングに使用する有機溶剤は、ロシアのウクライナ侵攻以降、価格が約6割上昇し、現在は1リットルあたり約270円です。さらに、車の燃料代やボイラーのガス代も上昇する可能性があり、コスト増が続いています。
三橋さんは「この物価高で、ワイシャツは自分で洗う人が増えた。料金を上げるとお客さんが離れていく。コストが上がっても、そのまま価格転嫁できるほど簡単ではありません」と語ります。同社はビニールの厚みを薄くするなどのコスト削減努力や、最新の乾燥機導入で溶剤のリサイクルを進めてきましたが、それでも経営は圧迫されています。やむなく4月から礼服のみ50円の値上げに踏み切りました。
企業努力の限界と政府支援への期待
三橋さんは「原油高騰が長引けば長引くほど中小企業の経営環境は苦しくなる。電気だって車だって使わない会社はないのだから、政府は支援策を講じてほしい」と強調します。中小企業にとって、エネルギー価格の上昇は避けられない課題であり、独自の対応には限界があるのが実情です。
日銀短観の結果は、大企業の景況感改善という明るい材料がある一方で、国際情勢の不確実性が中小企業に深刻な影響を与えていることを浮き彫りにしました。今後の経済動向には、イラン情勢の展開と政府の支援策が鍵を握りそうです。



