キッチンカー「Bell Kitchen」、家族の絆が生んだ旨辛温玉ベル丼の物語
キッチンカーには、店主の人生が色濃く反映される。昨年、約3800台のキッチンカーを対象としたアワードで「ストーリー部門」の金賞に輝いた「Bell Kitchen」は、まさにその代表的な一台だ。店主の小野千穂さんは、独立のきっかけを娘との関係に求めている。
娘との絆が生んだ独立
「独立は娘がきっかけです」と語る小野さん。もともと勤めていた飲食店がコロナ禍の影響でキッチンカー事業に転換する際、その運営を任されたことが始まりだった。出店先で、3人の子どもを持つママが一人で切り盛りするキッチンカーに出会い、大きな刺激を受けたという。小野さん自身も、現在高校3年生の娘を筆頭に4人の子持ち。その姿に勇気づけられ、続ける自信を持てたと振り返る。
独立を決意したのは2022年。学校になじめなかった娘が通信制高校に入学し、より多くの時間を共有したいと考えたからだ。「一緒に現場に立ち、お客さんとかかわることは、言葉以上の教育になったと思います」と小野さんは語る。娘との共同作業を通じて、家族の絆を深めながら事業を築いてきた。
家族みんなが楽しめる弁当を目指して
当初は厚切り炙りチャーシュー丼をメインに提供していたが、現在はローストポークが看板メニューに成長した。「家族みんなが食べられる弁当」をコンセプトに、小さな子どもでも食べやすい形にアレンジを重ねてきた。その努力が実り、多くの家族連れに支持されている。
一番人気の「旨辛温玉ベル丼」(1100円)は、うまみがピリ辛を上回る絶妙なバランスが特徴だ。子どもでも楽しめる辛さに調整されており、辛さを求める客には無料で激辛まで対応する柔軟性も持ち合わせている。
こだわりの食材と調理法
ローストポークには豚肩ロースを使用し、5時間かけて低温調理することで、極薄でふわっとした食感を実現している。タレはかつお節エキスやコチュジャンが入った醬油ベースの甘辛たれで、深みのある味わいが楽しめる。希望に応じて添えるショウガやゆず胡椒もアクセントとなり、ご飯が進む一品に仕上がっている。
新たなステージへ
娘は高校を卒業し、大学進学を控えている。互いに「頑張る」と誓った3年間が終わりを迎える中、小野さんは「今後は静かに見守ります」とほほ笑む。一人で作業を続ける日々だが、家族の支えがあってこその現在がある。
Bell Kitchenは、キッチンカーの拠点「SHOP STOP」の麴町、赤坂、虎ノ門などで出店している。最新情報はインスタグラムのアカウント@bell_kitchen33で発信中だ。家族の絆が生んだ温かい料理は、これからも多くの客の心を癒やし続けるだろう。



