品川区大崎駅前再開発で「住民主体」の建前に疑問、ゼネコン主導の準備組合に住民訴訟
大崎駅前再開発「住民主体」は建前?ゼネコン主導に住民訴訟

品川区大崎駅前再開発、「住民主体」の建前に住民不信募る

東京都品川区の大崎駅西口で進む駅前再開発事業をめぐり、「住民主体」を掲げながら、大手ゼネコンが準備組合を実質的に主導する実態が明らかになった。住民の意見が十分に反映されず、不透明な意思決定が問題をこじらせる典型的なケースとして、専門家から指摘されている。

マンション代表の選出に不透明さ、住民訴訟も提起

再開発予定地には約260人の地権者がいるが、準備組合のメンバーはわずか15人にすぎない。マンションの場合は代表者1人が参加するルールで、約90人の所有者がいる「ニュー大崎」でも発言権は1人に限定されている。この代表として、マンション管理組合の理事長が準備組合の理事を務めているが、住民の沢田明美さん(64、仮名)は「住民全員に諮らず、知らぬ間に代表が決まっていた」と異議を唱える。

管理組合の総会資料や議事録には、理事長を選出した記録が見当たらないという。沢田さんは「代表者の決め方が民主的でない」と訴え、一部住民は今年3月、管理組合を相手に訴訟を起こすことを明らかにした。東京新聞が理事長に経緯を尋ねたが、回答は得られていない。

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ゼネコン社員が準備組合を実質主導、住民の声届かず

NPO法人「区画整理・再開発対策全国連絡会議」の遠藤哲人事務局長は、「マンション管理組合の理事長を準備組合に引き込むのは、再開発でよくある手口だ」と指摘する。開発業者が理事長らに働きかけ、準備組合の結成を誘導し、実際の主導権は事務局に出向した社員が握るという。

大崎駅西口の準備組合では、大手ゼネコンが「事業協力者」として事務局に社員を出向させている。沢田さんは「説明会で司会や質問対応をしているのはゼネコンの社員で、理事たちは事務局に丸投げだ」と打ち明ける。ゼネコン側は個別事案への回答を控え、準備組合も関わりについてコメントを避けている。

行政を説得する「演出」、住民置き去りの実態

遠藤さんは、開発業者が「住民主体」を演出して行政を説得する材料としていると分析する。品川区が開示した文書によると、2012年3月に意見交換会が開かれ、「マンション関係者から再開発に向けた前向きな意向が示された」と記されている。しかし、沢田さんはこの会の存在自体を知らなかった。「地域住民が主体の再開発は建前でしかないのか」と割り切れない思いを募らせる。

品川区は、旧耐震建物が並ぶ課題や地元権利者の要望を踏まえ、意見交換会を開催したと説明するが、住民の間では準備組合への不信感が広がっている。再開発は利害が対立しやすく、多様な声を汲み取る仕組みの欠如が、地域の分断を深めている実態が浮かび上がった。

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