白馬インバウンド最前線:1室1億円でも外国人客に完売する高級市場
長野県白馬村では、「ラグジュアリー」や「ハイグレード」を掲げたホテルやコンドミニアムの開業や建設計画が相次いでいます。この動きは、インバウンド需要を背景に、地価上昇率が全国トップ水準に達する村の現状を象徴しています。
外資系ホテルと大型投資が続く村の変貌
森トラストが関わる村内初の外資系ホテル「コートヤード・バイ・マリオット白馬」が2018年12月に開業し、東京都新宿区の企業などが運営する全38室のコンドミニアム「ホテル・ラ・ヴィーニュ白馬」が2024年12月にオープンしました。さらに、スキー場ではゴンドラリフトの新設など大型投資が進み、村外資本を巻き込んだプロジェクトが活発化しています。
地元不動産会社の挑戦:さくら不動産の再開発プロジェクト
こうした中、地域に根ざした「白馬の再生」を掲げる不動産会社があります。さくら不動産(白馬村)の橋本旅人さん(47)が2代目社長を務める同社は、JR白馬駅前で再開発プロジェクトを進めています。宿泊施設やアウトドアショップなどが入る4階建てビルを建設し、2026年冬のオープンを目指しています。
このプロジェクトは、白馬のシンボルである白馬三山を駅前のロータリーから眺める景観を損なわないデザインを心がけており、村の玄関口としての役割を果たすことが期待されています。
橋本社長の決意:逆境を乗り越え、インバウンドチャンスを掴む
橋本さんは2002年、家業を継ぐため東京から村へ戻りました。当時は「不良債権処理の時代」で、現在では億単位で売れるスキー場近くのペンションが400万円でも買い手がつかない状況でした。もともと海外の富裕層を顧客にしたいと考えていた橋本さんですが、2008年のリーマン・ショックや2011年の福島第一原発事故による風評被害など逆風が続き、浮上のきっかけをつかめませんでした。
しかし、2017年にさくら不動産が村内のスキー場近くに建てたコンドミニアム「マウンテンサイド白馬」(全8室)が転機となりました。1室の価格は約1億2千万円で、「当時の東京・豊洲のタワマンと同じ」と橋本さんは語ります。当初は冷ややかな目で見られましたが、外国人客を中心に完売し、インバウンド需要の高まりを実感しました。
橋本さんは「私たちに逃げ場はない」と決意を語り、ようやく訪れたチャンスを逃すまいと、村の再生に向けてひた走っています。白馬村のインバウンドブームは、地元企業の挑戦と葛藤を映し出しながら、持続可能な成長を模索する姿を浮き彫りにしています。



