台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を地域経済の底上げにつなげるため、半導体関連企業などでつくる業界団体が九州各県で次々と発足している。半導体に特化した熊本県内唯一の業界団体として昨年2月に設立された「くまもと半導体グリーンイノベーション協議会(KSGI)」の山口宜洋会長に、展望を聞いた。(聞き手 経済部長・山根浩二)
協議会の名称に「グリーンイノベーション」を掲げる理由
山口会長は、熊本で半導体産業を推進する上で、地下水を始めとする水資源と安定的な電力が不可欠だと強調する。さらに、地域との共生には水資源の保全が重要であり、半導体製造時に大量に消費する電力についても二酸化炭素削減が必須であると指摘する。「グリーンイノベーションには、環境に関する課題解決を成長の種と捉え、新たなビジネスを生み出すという意図を込めている。実現はこれからだが、うまく進められれば『熊本モデル』として全国、世界に展開できると考えている」と語る。
設立から1年、手応えと今後の目標
KSGIはTSMCのために活動するのではなく、地元の関連企業や自治体、教育機関、金融機関が一体となり、半導体を地域産業の基盤として成長させることを目的としている。今年4月末時点で69の企業・団体が会員となり、多方面から注目を集めている。山口会長は「協議会が設けている部会の一つに『ビジネス創出』があり、企業同士のマッチングや市場調査などを担っている。技術の進化が速い半導体業界で臆することなく挑戦する地場企業を支援するだけでなく、台湾とのビジネス拡大も我々の役割だ。地場企業の技術が世界に展開されていくような道筋をつくりたい」と意気込みを語る。
具体的な活動と台湾との連携
実現に向けた活動として、昨年9月に台湾で開催された世界最大規模の半導体展示会「セミコン台湾」に、熊本県と共同でブースを出展した。また、企業訪問や大学同士の交流なども進めており、台湾とのパイプづくりを始めたところだという。今後も地場企業の技術力を世界に発信し、熊本から半導体産業の新たなモデルを築いていく方針だ。



