金沢大学などの国際研究チームは、約138億年前の宇宙誕生から約8億年後に生まれたばかりの極小銀河「LAP1-B」の観測に成功したと、13日付の英国科学誌『ネイチャー』に発表した。この銀河に含まれる酸素の量は、これまでに見つかった銀河の中で最も少なく、重い元素もほとんど存在しない成長初期の状態であることが確認された。この成果は、銀河の誕生メカニズムの解明につながると期待されている。
重力レンズ効果で捉えた初期宇宙の姿
LAP1-Bは2020年にその存在が報告されていたが、詳細な性質は不明のままであった。研究チームは、巨大な質量のそばを光が通過する際に曲げられ、遠方の天体が拡大されて見える「重力レンズ効果」を活用。手前の巨大銀河団によって約100倍に増幅されたLAP1-Bを、米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で30時間以上にわたって高感度分光観測することに成功した。
極小銀河の特徴と意義
LAP1-Bは、酸素の含有量が極めて低く、これは宇宙初期の銀河がまだ重元素を生成する段階にないことを示している。研究を主導した金沢大学の中島王彦准教授(銀河天文学)は、「このような初期段階の銀河を観測できたことは、銀河形成の理論モデルに重要な制約を与える」と述べている。今回の観測データは、宇宙初期における星形成や元素合成のプロセスを理解する上で貴重な手がかりとなる。
- LAP1-Bは地球から約130億光年離れた位置にある。
- 重力レンズ効果により、実際のサイズの約100倍に拡大されて観測された。
- 観測にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器(NIRSpec)が使用された。
研究チームは今後、さらに多くの初期銀河を観測し、宇宙初期の銀河形成の全体像を明らかにすることを目指している。



