四半世紀使われなかった天文台が再び光を放つ
東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)にある天文台で、一般向けの「星空観望会」が初めて開催された。この天文台は約25年間、ほとんど使用されていなかったが、大学院生の熱意と試行錯誤によって再び活用されることとなった。
歓声に包まれた星空観望会
3月21日に開催された観望会では、家族連れなど約60人が参加。口径28センチの望遠鏡をのぞき込んだ参加者たちは、くっきりと見える月のクレーターや鮮やかなオリオン大星雲に感動し、「おーっ、すごーい」「めっちゃきれい」といった歓声を上げた。
墨田区から参加した中学3年生(14歳)は「あまり星を見る機会がなく、教科書でしか見たことのない月のクレーターが見られてよかった」と笑顔を見せた。都市部では明るい夜空のため天体観測が難しい中、貴重な体験となったようだ。
故障したシステムを手動操作で克服
この天文台は1994年に教育・研究用として設置されたが、自動的に目標の天体へ望遠鏡を向けるシステムが故障したため、約25年前から研究者らは観測にほとんど使用しなくなっていた。
「せっかくの施設なのにもったいない」と考えたのは、当時東京大学大学院博士課程で宇宙論を研究していた直川史寛さん(28歳)だ。5年前に再活用を発案し、担当教授の許可を得て試行錯誤を重ねた結果、故障したシステムを使わずに、星図を活用して望遠鏡を手動で目標へ向けられる方法を確立した。
大学祭での試行から一般公開へ
直川さんは他の学生たちと協力し、大学祭で観望会を試行したところ好評を博した。この成功を受けて、今回の一般向け観望会の開催にこぎ着けたのである。
直川さんは「今後も観望会を続けていきたい」と意気込みを語る。今年4月からは東北大学の特任研究員となったが、今後も上京して活動を継続する予定だという。
都市部で星空を楽しむ機会を創出
「都会の住民が星空や宇宙の神秘を気軽に楽しめるようにしたい」と話す直川さんは、観測機材の整備や天文台の運営のために、大学への寄付を募っている。都市部では光害の影響で星空観測が難しいが、この取り組みが新たな可能性を開くことになるかもしれない。
約四半世紀にわたって眠っていた天文台が、若い研究者の情熱と努力によって再び目を覚まし、多くの人々に宇宙の神秘を伝える場として生まれ変わった。この活動が今後どのように発展していくか、注目が集まっている。



