数学界の超難問「ABC予想」証明に新たな展開
数学の世紀の難問とされる「ABC予想」の証明をめぐり、国際的な研究チームが2026年3月31日、検証作業の現状を公表しました。ZEN大学を中心とするチームは、京都大学の望月新一教授(57)が2012年に発表した証明について、「現時点で解明できていないポイントがある」と指摘し、論理的な飛躍の可能性も含めて議論を継続していると明らかにしました。
証明検証の異例のプロセス
ZEN大学ZEN数学センター所長の加藤文元氏(57)らが会見で説明したところによると、研究チームは約1年半前から証明の検証を進めてきました。数学誌「PRIMS」に掲載された論文の正否が改めて検証されるのは極めて異例な事態です。チームには、望月氏に師事する京都大学数理解析研究所の星裕一郎准教授(44)や、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のキラン・ケドレヤ教授など、十数人の数学者が参加しています。
注目の手法は定理証明支援ソフト「Lean」です。このソフトウェアは、数学的証明をコードに変換し、コンピューターが論理の正しさを厳密にチェックするものです。チームは2024年9月から、望月氏が開発した「宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)」の形式化を目指し、理論構造を細かく分解して論点整理を進めてきました。
未解明のポイントと論理的ギャップの可能性
加藤氏によれば、検証作業は現在も進行中ですが、IUT理論の根幹を支える定理について、研究チームが完全に理解できていない部分が存在するといいます。このポイントは数学的なギャップ(論理的飛躍)の可能性も含んでおり、チーム内でも判断が分かれている状況です。
「それが本当にギャップなのか、それとも私たちの理解不足によるものなのか、現時点では結論が出せない」と加藤氏は述べています。星准教授はIUT理論の正当性を支持する立場ですが、チーム内に未解明の点があることは認識しているとしています。
数学界を揺るがす異常事態
ABC予想は1985年に提案された整数論の超難問で、「20世紀最高の予想の一つ」と称されています。望月教授が2012年に証明論文を発表し、2020年にその正しさが認められて数学誌に掲載されたものの、IUT理論の難解さから数学界全体の合意が得られない異常事態が続いていました。
IUT理論は「どこが分からないのかさえ分からない」と言われるほど難解で、世界で理解できる数学者は20人ほどと推定されています。このため「証明に欠陥がある」との指摘も消えず、数学界の混乱に終止符を打つことが大きな課題となっていました。
今後の展開と数学界への影響
国際研究チームは、望月教授との対話を継続しながら検証作業を進め、2026年までに結論を目指す方針です。この検証プロセスは、数学の証明検証にコンピューター支援技術を本格導入する先駆的事例としても注目されています。
数学界では、証明の正否が確定することによって、以下のような影響が期待されています:
- ABC予想を前提とした数百もの数学的命題の運命が決定される
- 整数論研究の方向性が明確になる
- コンピューター支援証明検証の新たな標準が確立される可能性
- 数学界の異常事態に終止符が打たれる
望月教授は検証チームに直接参加していませんが、議論には協力的な姿勢を示していると伝えられています。数学史上まれに見る論争の行方が、世界中の数学関係者から注目されています。



