沖縄やんばるで発見のニホンジカ、人為的持ち込みをDNA解析で特定 福島大研究グループが国際誌に発表
福島大学共生システム理工学類の兼子伸吾教授を中心とする研究グループは、沖縄本島のやんばる地域で2024年に初めて確認されたニホンジカについて、詳細な調査を実施した結果、この個体が人為的に持ち込まれたものであることを明らかにした。この研究成果は、6日付で日本哺乳類学会が発行する国際的な学術誌にオンライン掲載され、外来種問題への新たな知見として注目を集めている。
ユネスコ世界自然遺産地域での初確認を契機に調査開始
やんばる地域は、豊かな生物多様性で知られるユネスコ世界自然遺産に登録されており、在来のシカが生息していないことで生態系の保全が重要視されてきた。しかし、2024年10月に初めてシカが目撃されたことを受け、研究グループは緊急に調査に着手した。目撃地点の周辺で採取されたふん便のサンプルからDNAを抽出し、性別や個体の由来を科学的に分析することで、この謎の解明に挑んだ。
DNA解析で宮城県の集団に近い遺伝子的特徴を発見
研究グループが実施したDNA解析の結果、ふん便はオスのニホンジカのものであり、その遺伝子的特徴が宮城県の金華山島に生息するニホンジカ集団に極めて近いことが判明した。この発見は、やんばる地域で発見されたニホンジカが、自然分布ではなく、人為的な移動によって持ち込まれた個体であることを強く示唆している。従来、沖縄にはニホンジカが生息しないとされてきたため、この事実は生態系への潜在的な影響を懸念させるものとなった。
外来種問題への対策強化に期待 継続的な影響評価を実施
研究グループは現在、ふん便に含まれる植物のDNA調査を継続しており、ニホンジカがやんばるの森の植生に与える影響を詳細に評価している。兼子教授は、この研究成果が「ニホンジカの国内外来種問題に対する効果的な対策や規制の強化につながることを期待する」と述べ、外来種管理の重要性を強調した。やんばるのような貴重な自然遺産地域では、人為的な生物の移動が生態系バランスを崩すリスクがあるため、早期の対応が不可欠と指摘している。
今回の研究は、DNA技術を活用した外来種の追跡手法としても意義深く、今後の保全活動に役立つ知見を提供するものと期待される。研究グループは、さらなるデータ収集と分析を通じて、やんばる地域の生態系保護に貢献していく方針だ。



