家庭向け人型ロボット「ネオ」、設計思想に日本の教訓を活かす
人型ロボットは長年にわたり研究開発が進められてきたが、なぜ社会を変革する存在には至っていないのか。この問いに挑戦するノルウェー発のスタートアップ企業「1Xテクノロジーズ」の創業者兼CEO、ベルント・ボルニック氏は、約10年前に起業し、その答えを模索し続けている。同社が開発した人型ロボット「ネオ」は、2026年に米国の家庭向け市場で発売される予定だ。オンラインインタビューを通じて、ボルニック氏は設計思想の源流に日本との深い関わりがあることを明らかにした。
起業の背景と三つの基本柱
ボルニック氏は、長年さまざまなロボットシステムの開発に携わってきた経験から、1Xテクノロジーズを立ち上げた際に根本的な問いを再考したという。「数多くの優れたロボットが作られてきたにもかかわらず、なぜ社会に大きな影響を与えるには至らなかったのか」と振り返る。創業時、同氏は影響力のある企業となるために三つの基本的な柱を設定した。安全で有能、そして手頃な価格で社会に広く普及させることがその核心だ。これらの要素を組み合わせることで、ロボット技術の民主化を目指している。
産業用から家庭用への戦略的転換
1Xテクノロジーズは当初、工場での作業など産業用途から事業を開始したが、2026年には家庭向け展開を本格化させる。ボルニック氏は、この動きを単なる用途転換ではなく、汎用知能の獲得に向けた戦略的アプローチと説明する。同氏によれば、社会に広く実装可能なロボットを開発するには、多様な状況に柔軟に対応できる汎用知能が不可欠であり、そのためにはデータの多様性が鍵となる。工場環境は繰り返し作業が多く、限られた経験しか得られない一方、家庭は日々変化する生活状況を提供し、ロボットに幅広い学習機会を与える。家庭向けロボットの投入は、汎用知能の育成を促進するための意図的な選択だという。
ネオの現状と将来の可能性
家庭向けに開発された人型ロボット「ネオ」は、現時点でエビの殻むきなどの細かい作業をこなす能力を持つ。ボルニック氏は、日本のロボット開発から得た教訓を活かし、安全性と信頼性を最優先に設計を進めていると強調する。日本製ロボットの歴史から学んだ点として、過度な複雑さを避け、実用的な機能に焦点を当てる重要性を挙げる。これにより、ネオは家庭環境での日常的なタスクを効率的に支援できるようになる見込みだ。
さらに、同社は価格設定にも注力しており、手頃なコストで広く普及させることで、人工労働力の創出を目指す。ボルニック氏は、ロボット技術が社会全体に浸透するためには、アクセシビリティと実用性のバランスが重要だと述べる。日本の技術革新からインスピレーションを得つつ、グローバルな視点で課題に取り組む姿勢が、1Xテクノロジーズの独自性を形作っている。
総じて、1Xテクノロジーズの取り組みは、人型ロボットの未来を切り開く可能性を示している。日本の経験を礎に、安全で有能、かつ経済的なロボットを家庭に導入することで、社会変革への道筋を描こうとしている。



