福島県が新産業人材育成の方針案を策定、成長分野での競争力強化を目指す
福島県は、航空宇宙やロボットなどの新産業を担う人材育成の方針案をまとめた。県民の意見を踏まえ、年度内に正式な方針を策定する予定だ。専門性の高いものづくり人材を生み出す基盤を強化することで、成長が期待される分野での新たな企業誘致や、本県に進出してきた企業の事業拡大などに結び付けていくことを目指している。
震災後のイノベーション・コースト構想を背景に、分野横断的な人材育成が課題に
本県は東日本大震災後、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に基づき、集中的にドローンや廃炉などの新産業を集積してきた。人材面では、行政や関連業者らが協議会などを設けて確保を図ってきたが、分野ごとに縦割りの傾向があり、新産業全体の状況を把握して育成に取り組むような包括的な指針はない状態だった。
今回の方針案は、六つの産業分野について最新の技術動向から求められる人材像や参入する場合に必要な資格などを示し、関係機関が課題や方向性を共有できる形にした。県は方針策定を契機に、福島国際研究教育機構(エフレイ)などの機関の連携を促し、それぞれが得意分野のノウハウを提供し合う「オール福島」の人材育成の態勢を構築することが重要だと強調している。
学校教育から社会人まで、実践的なキャリア教育の充実を推進
学校教育の現場では、地域の企業を訪問したり、現場で働く人を招いた授業を行ったりして職業意識を高める取り組みが進められてきた。新たな方針では、安定した人材確保に向け、これまでの枠組みを活用して、再生可能エネルギーや医療機器、水素などの分野に興味や関心を持つ若者を増やしていく取り組みを盛り込んだ。
新産業に属する企業や団体の協力を得て、小学校から大学までの各段階に応じてものづくり教室や企業体験、実習の中で部品の一部を製造するなどの試みを導入すれば、成果は上がるはずだ。次世代の地元定着率を高める観点からも、実践的なキャリア教育の充実を図ることが求められる。
既存企業の新産業参入を支援し、地域経済の裾野を拡大
新卒者を担い手に育成するだけではなく、既存のものづくり企業や、そこで働く人たちに新産業の分野に参画してもらうことが必要だ。県によれば、震災後に進出してきた企業からは、部品調達や不具合のある機器の修理などのスピードを高めるため、地元企業との連携を希望する声があるという。
しかし、企業が新規参入を実現するには、知識や情報面での支援が欠かせない。県には、ハイテクプラザにある産業関連の研究成果の企業への橋渡しや、テクノアカデミーでの社会人向け講座の積極的な開催などを通じて企業を後押しし、新産業を支える裾野を広げていくことを期待したい。



