千葉県流山市出身で、立命館大学大学院情報理工学研究科修士2年の瀧下奎斗さん(24)=滋賀県草津市在住=が、カメラ映像を基にロボットが周囲を判断し、自律的に学習する独自の基盤モデルの開発に取り組んでいる。この移動式ロボットの実装に向けた開発は国内でも例がなく、瀧下さんは「社会に溶け込み、人間を支援するコンシェルジュのようなロボットを創りたい」と展望を語る。
独自モデル「Kanaria Robotic Model」の仕組み
開発中の基盤モデルは「Kanaria Robotic Model(KRM)」と名付けられた。カメラ映像データを学習させることで、ロボットが周囲の状況を理解しながら自然に動作する仕組みだ。障害物や人の動き、速度、大きさ、形状などを認識し、次の動きを予測することで、ロボットは適切に行動できる。
従来のロボット走行では、エリアの地図を事前に生成し、搭載したセンサーで位置情報や障害物を認識させる方法が一般的だった。しかし、この手法では地図設定に手間がかかる上、障害物が多い複雑な環境や人が密集する場所、新しい環境での制御が難しいという課題があった。
実証実験と将来の展望
瀧下さんは通信大手ソフトバンクによるデリバリーサービスの実証実験にも参加。今後は金融機関や商業施設での案内ロボットなど、様々な場面で活用できる基盤を構築し、将来的な労働力不足の解決に貢献することを目指している。
2022年7月、20歳の時に学内の友人らとスタートアップ企業「KanariaTec(カナリアテック)」を設立。社名には、鳥のカナリアが未踏の洞窟を飛ぶように、未知の領域を切り開く企業になりたいという願いが込められている。KRMの開発には約1年を要したという。
2026年4月26日に滋賀県草津市で開催された「草津宿場まつり」では、同社単独として初の実証実験を実施。琵琶湖の水滴をイメージした自社製ロボット「わっこ」を使い、メインイベント「時代行列」の先導や警備を行った。さらに6月初旬から8月下旬にかけては、草津市役所で来庁者の案内や窓口までの誘導に試験導入し、データ収集を行う予定だ。
瀧下さんは「人間が不自然と感じない動き」を目指して研究開発を続けるとともに、「安全性やスタッフの負担軽減など、社会での受容性も検証したい」と意気込みを語っている。



