千代田区がAIを駆使した偽情報対策を2026年度から本格化
千代田区は、新年度となる2026年度から、インターネット上に拡散する区関連の偽情報対策に本腰を入れます。人工知能(AI)を活用して情報を収集・選別し、「オリジネーター・プロファイル(OP)」を導入することで、正確な情報発信に信頼性を付与する方針です。区の担当者は、「人類総メディア時代と呼ばれる現代において、ネット上の偽情報対策に取り組む必要性が高まっている」と述べ、対策の緊急性を強調しました。
情報リテラシー向上を目指す区長の危機感
3月26日に千代田区役所で開催された「情報リテラシーに関する意見交換会」で、樋口高顕区長は、「新しい情報ツールによって、我々の認知領域が大きく侵されている」と語り、AI技術の急速な進化に伴うフェイクニュースや誤情報の拡散に強い懸念を示しました。この会合では、昨年以降、有識者を交えて計3回の意見交換が行われ、誤情報が広まった際には自治体が積極的に正確な情報を発信することが有効だとの意見が多数上がりました。
AIを活用した情報収集システムの導入
区は、これらの議論を踏まえ、民間の情報収集システムである「ソーシャルリスニングツール」の試行導入を決定しました。このツールは、「千代田区」や「災害」といったキーワードを登録することで、X(旧ツイッター)などのSNSを含むネット上の情報から該当する内容を自動検知します。災害時には、「公園で木が倒れている」といった実用的な情報から偽投稿まで幅広くキャッチできることが期待されています。
収集された情報は、区職員が真偽を確認し、正確に伝えるべきと判断した内容は区のホームページで発信されます。さらに、区発信の情報に信頼性を付与するため、OPの活用も目指しています。OPは、インターネット上の記事や広告に第三者機関が認証した発信者情報を電子的に付与し、利用者が信頼性を確認できる技術です。
他区での先行事例と今後の展望
AIを活用した情報収集は、江東区でも2024年4月から実施されており、先行事例として注目されています。江東区では、AIを使ってSNS上に投稿された災害や犯罪、交通状況に関する情報を収集し、民間システムで真偽を確認した上で区民への情報提供に活用しています。例えば、昨年9月に区内で大雨が降った際には、AIが冠水した場所の情報を検知し、区が気象庁の発表情報を確認した上で、区防災アプリなどで注意喚起を行いました。
千代田区の取り組みは、こうした成功事例を参考にしつつ、より高度な偽情報対策を目指すものです。区長は意見交換会で、情報リテラシーの向上が地域社会の安定に不可欠だと訴え、今後も継続的な対策を進めていく方針を示しました。



