自民党中部9県連、政治資金パーティー再開の動き広がる
2023年の自民党派閥裏金事件で、唯一の逮捕者を出した愛知県の自民県連が3月23日、政治資金パーティーを3年ぶりに開催した。2024年と2025年は開催を自粛していたが、年1億円以上の収入減少や資金調達の必要性を理由に再開を決断。この動きは中部地方の他県連にも波及しており、識者からは透明性の確保が強く求められている。
愛知県連、名古屋で大規模パーティーを開催
23日夜、名古屋・名駅のホテルで開催されたパーティーには、「政経セミナー」との看板が掲げられた会場に、会費3万円を支払った2千人超(主催者発表)が集結した。県連幹部は再開の理由について「資金調達や党勢維持のため」と説明。改正政治資金規正法に基づき、現金支払いから原則口座振り込みへと変更し、透明性向上を図っていると強調した。
政治資金収支報告書によると、愛知県連はパーティーにより2022年に1億4952万円、2023年に1億4370万円の収入を得ていた。自粛期間中も事務所家賃や人件費がかさみ、昨年以降は選挙が続いたことから、県連関係者は「もう1年我慢できるか、ぎりぎりの状況だった。他県でも再開が進む中、当県も進めることになった」と内情を明かしている。
中部9県連、再開の動きと慎重姿勢が交錯
自民党の中部9県連では、裏金事件後に愛知、岐阜、長野、滋賀、富山がパーティーを自粛していた。現在の状況は以下の通りである。
- 岐阜県連:昨年11月に再開したが、世論の反発を考慮し規模を約3分の1に縮小。
- 長野県連:隔年開催を続けてきたが2024年は見送り、2025年6月に再開予定。宮下一郎県連会長は「人材育成や組織活動のためには安定的で健全な財政基盤が不可欠」と述べる。
- 富山県連:3年に1度開催してきたが、再開判断は2027年度以降となる見通し。最後の開催となった2022年には、会場定員3千人に対し7800人余りのパーティー券を販売し、「事実上の寄付だ」と批判を浴びた。宮本光明県連幹事長は「ルールを厳格に守り、疑義を持たれないよう課題を整理する必要がある」と慎重姿勢を示す。
- 三重、静岡県連:収支報告書への記載があれば問題ないとの判断で、自粛を行っていない。
- 福井、石川県連:約10年前からパーティーを開催していない。
専門家、透明性確保の重要性を指摘
「政治とカネ」問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は、政治資金パーティーが1975年に個人献金の代替として始まった経緯を説明。献金収入が伸び悩む中での開催はやむを得ないとしつつも、企業・団体による出席者を上回るパーティー券のまとめ買いは是正すべきだと指摘する。
岩井名誉教授はさらに、透明性確保の観点から、改正政治資金規正法で2026年1月からパーティー券購入者の公開基準額が20万円超から5万円超に引き下げられることを「一歩前進」と評価。支払いが原則振り込みとなるため、県連などは入金記録を自ら公開・説明する姿勢が求められると強調した。
他党の対応も変化、自粛から奨励へ
自民党以外の政党でも、政治資金パーティーへの対応が変化している。
- 中道改革連合:パーティー禁止法案を提出した立憲民主党の流れをくむ同連合は、小川淳也代表が「自粛どころか、むしろ奨励したい」と発言。開催を制限しない方針を示した。
- 立憲民主党:昨年12月、執行役員によるパーティーの自粛方針を解除。
- 国民民主党:地方組織や議員の判断で開催を容認。
- 公明党:改正政治資金規正法の整備を受け、各県本部が新春の集いを開催するなど、自粛していたパーティーを再開。
- 日本維新の会:東海地方の関係者によると、都道府県支部がパーティーを開くには本部の許可が必要で、企業によるパーティー券購入を認めていない。
- 共産党:パーティーを開いていない。
政治資金パーティーを巡る環境は、法改正と世論の監視の下、新たな段階を迎えている。各党が透明性と説明責任をどう果たすかが、今後の焦点となるだろう。



