社会的孤立に遺伝的要因も関与か 東北大・京大などが6万人超のデータで分析
社会的孤立に遺伝的要因も関与 6万人超のデータ分析 (24.03.2026)

社会的孤立の背景に遺伝的要素も存在か 大規模研究で新たな知見

高齢化社会の進展に伴い、多くの人々が将来への不安として感じている「社会的孤立」。これまで、孤立しやすい状態は主に生活環境や健康状態といった社会的・環境的要因によって引き起こされると考えられてきました。しかし、最新の研究によって、遺伝的な個人差もわずかながら関与している可能性が示唆されました。

6万人超の遺伝情報を詳細に分析

東北大学と京都大学、岩手医科大学からなる共同研究チームは、医学誌に発表した論文の中で、6万3497人(平均年齢59歳)の遺伝情報を詳細に分析した結果を報告しています。研究対象となったのは宮城県と岩手県に居住する一般住民で、国際的な指標を用いて家族や友人とのつながりについて調査が実施されました。

研究チームは、社会的孤立を「孤独さや寂しさといった主観的感情」ではなく、「実際の人間関係や支援ネットワークの有無」という客観的指標で定量評価しました。数百万カ所に及ぶ遺伝情報と照合した結果、社会的孤立の傾向と関連する遺伝的変異が特定されたのです。

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脳・神経系に関連する遺伝子領域に注目

分析の結果、社会的孤立のしやすさに関連する遺伝的変異は、脳や神経系の機能に関与する遺伝子の近傍領域で確認されました。この発見は、対人関係の形成や維持における生物学的基盤の存在を示唆するものとして注目されています。

研究チームは強調します:同じ地域や職場環境にいても、人間関係を広げていく人と周囲から遠ざかっていく人が存在するのは事実です。また、精神疾患や神経発達に関連する疾患を持つ人々の中には、対人関係において困難を経験するケースも少なくありません。こうした個人差の背景には、生まれつきの遺伝的素因が影響している可能性があるのです。

遺伝的影響は限定的だが重要な示唆

研究結果によれば、社会的孤立に対する遺伝的影響は数パーセント程度と推定されており、その効果は限定的です。このことは逆に、孤立の問題の大部分が社会環境や文化的要因によって形成されていることを示しています。

専門家からは「働き方の多様性や社会保障制度の整備、教育環境の改善、地域コミュニティの活性化、そして同調圧力の緩和など、社会的要因への対応が依然として重要である」との指摘がなされています。遺伝的素因の存在を認めつつも、社会全体としての取り組みが不可欠だという認識が広がっています。

今後の研究展開と社会的意義

今回の研究は、社会的孤立という複雑な現象を多角的に理解するための新たな視点を提供しました。遺伝的要因と環境要因がどのように相互作用するのか、また、特定の遺伝的傾向を持つ人々に対してどのような支援が効果的なのか、今後の研究課題として残されています。

高齢化が進む日本社会において、社会的孤立は個人の健康状態や生活の質に深刻な影響を及ぼす問題です。この研究が、孤立予防のための効果的な施策開発や、個人に合わせた支援方法の確立に貢献することが期待されています。

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