EV車載電池市場は右肩上がり継続へ 量産の壁と安全性の課題を専門家が解説
EV電池市場は拡大続く 量産の壁と安全性を専門家が解説 (18.02.2026)

電池市場は今後も右肩上がりで拡大 量産の壁と安全性の課題に挑む

世界各地で将来の需要拡大を見込んで、リチウムイオン電池の生産能力の拡大が急速に進んでいます。過剰生産能力問題が指摘される一方で、米国、中国、欧州を中心に投資が続いており、市場の魅力は衰えていません。電池市場の可能性はどこにあるのか、その核心を探るため、横浜市に拠点を置くリチウムイオン電池生産のスタートアップ「TeraWatt Technology(テラワットテクノロジー)」の川口竜太氏に独占インタビューを行いました。

EVのコスト優位性とバッテリー価格の下落

川口氏は、電気自動車(EV)がガソリン車よりも低コストになる現実が生じていると指摘します。少なくとも中国では明らかであり、日本でも新車購入から廃車までの総費用、いわゆる「トータルコストオーナーシップ」で比較すると、使い方によってはEVの方が安くなると説明します。燃料代、メンテナンス費用、税金を含めた金額を考慮すれば、年1万2000キロ走行を前提に廃車まで使用する場合、EVは圧倒的に経済的です。その背景には、燃料代と電気代の大きな差があり、特にバッテリー価格の下落が主要な要因となっています。

EVの適正使用と普及の心理的障壁

川口氏によれば、自動車所有者の半数は半径50キロ以内の移動が大半であり、小さなバッテリーで十分で急速充電さえ不要なケースが多いです。しかし、人々の心理的な準備が整っていないため、普及が進んでいない現状があります。また、リチウムイオン電池の安全性について、技術的観点から完全に安全なものは存在せず、過充電や過放電により発火リスクがあると認めつつも、多重の安全装置でリスクを管理していると述べています。安価な電池では品質管理が不十分で発火事故が起きることもありますが、車載電池は厳重な設計により発火事故はガソリン車の10分の1以下に抑えられています。

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量産の難しさとビジネスとしての課題

リチウムイオン電池の量産は、通常の工業製品とは異なり、メカニズムが未解明な部分が多く、トライ&エラーが開発や生産に残されていると川口氏は強調します。構成元素や分子が多く、反応や3Dナノ構造まで考慮すると複雑で、不具合の根本原因特定が困難です。ビジネスとして成り立たせるためには、経験と勘に基づく対処も必要であり、新工場では歩留まりが50%程度から始まり、数年かけて改善するのが一般的です。資金不足で事業が頓挫するリスクも高いと指摘します。

リチウムイオン電池の将来性と日本の市場展望

川口氏は、リチウムが周期表で金属として最小であることから、電気を蓄え移動させるのに適しており、リチウムイオン電池を超える技術は当分出てこないと楽観視しています。日本の市場については、経験豊富なエンジニアが多く、事業成功確率が高いと評価し、政府からのサポートも受けていると語ります。電池市場は巨視的に右肩上がりで拡大し、一時的な供給過剰があっても需要は安定的に伸びると予測しています。

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急速充電インフラの課題とEV普及の未来

日本でEV普及が進まない理由として、急速充電インフラの不足を挙げています。高速道路のサービスエリアなど要所に10機以上の設備が必要ですが、設置コストが高く、利益が出にくいビジネスモデルであるため、公的な支援が不可欠だと主張します。EVが市場のマジョリティになるかについては、充電インフラの問題や初期費用の高さから、すべての車がEVになるわけではないと見ています。一方、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の普及には、リユース・リサイクルの制度化が重要だと指摘し、経済的なリサイクルが難しい現状を危惧しています。