福島・浪江町で波力発電装置「ウェーブリング」の実証実験が本格始動
原子力・火力プラントの建設・修繕などを手掛ける「ビーエイブル」(福島県大熊町・広野町)と、洋上発電設備の開発を専門とする「イエローダック」(兵庫県)の2社は、今月より福島県浪江町の請戸川河口において、画期的な波力発電装置「ウェーブリング」の実証実験を開始しました。この実験は3月まで継続され、収集されたデータと知見を基に装置の改良を重ね、将来的な事業化を目指す重要なステップとなります。
独自の構造で波の上下運動を電力に変換
ウェーブリングは、直径1.5メートルのフロート(浮体)を数珠つなぎに連結し、その上に発電設備を搭載したユニークな設計が特徴です。全体の重さは約120キログラムで、浮体と滑車で吊り下げられた重りが、波の力による上下運動を利用して滑車を回転させ、モーターを駆動することで発電する仕組みを採用しています。
発電能力としては、最大波高2メートルの条件下で最大160ワットの発電が可能であり、これは一般的なテレビや小型電子機器を稼働させるのに十分な電力量に相当します。さらに、設計段階から地震に伴う津波や台風による大波にも耐え得る強度が確保されており、過酷な海洋環境での運用を見据えた堅牢性がアピールポイントとなっています。
実証実験で安定性と設置の柔軟性を確認
今回の実証実験では、浪江町や地元漁業協同組合などの協力を得て、ウェーブリング1基を太平洋上に設置。水に浮いた状態で確実に発電できること、そして独自技術により波の影響を受けずに一定の場所に留まり続けられること、さらには水深に左右されず柔軟に設置可能であることなど、実用化に向けた重要な特性が確認されました。
10日には、実験の様子が報道陣に公開され、関係者から今後の展望が語られました。ビーエイブルの岡井勇取締役研究開発本部長は、「装置の大型化を視野に入れながら改良を進め、2社連携による事業化を目指していく」と意気込みを強調。一方、イエローダックの中山繁生社長は、「自動給餌器への電力供給など、漁業分野での活用にも親和性が高く、地域産業との連携が期待できる」と述べ、多様な応用可能性に期待を寄せています。
この取り組みは、再生可能エネルギーの新たな選択肢として、持続可能な社会の実現に貢献する可能性を秘めており、今後の進展が注目されます。