南極観測船しらせがトッテン氷河沖で集中観測開始 海氷少なく「追い風」の状況
しらせがトッテン氷河沖で集中観測開始 海氷少なく好機

南極観測船しらせ、トッテン氷河沖で本格的な集中観測を開始

南極観測船「しらせ」に乗船した第67次南極地域観測隊(青木茂隊長)は、2026年3月6日、東南極に位置する最大級のトッテン氷河沖において、本格的な集中観測を開始しました。この観測は、氷河の融解が加速しているとされるメカニズムの解明と、周辺生態系への影響を詳細に調査することを目的としています。

約30カ所で多角的な調査を実施

観測隊は3月26日までの期間中、トッテン氷河沖の約30カ所において、海水温や塩分濃度の測定、プランクトンの採取など、多角的な調査を実施する予定です。初日となる6日には、南緯65度付近の洋上でセンサーを投入し、海洋環境の基礎データを収集しました。

国立極地研究所の平野大輔氏は、海洋観測のまとめ役として「スムーズによい滑り出しができた」と述べ、今回の観測の意義を強調しました。「1回の航海でここまで網羅的にトッテン氷河沖を観測できるのは初めての試みです。今年は海氷が少なく、観測には追い風の状況であり、この好機を最大限に活かしたい」と意気込みを語っています。

2レグ制で効率的な観測を実現

第67次隊は、オーストラリアと南極大陸を2往復する「2レグ制」を採用しており、トッテン氷河沖での観測は後半の重要な日程に位置づけられています。このスケジュールにより、多くの研究者が参加し、効率的かつ集中的なデータ収集が可能となっています。

青木隊長も「今シーズンは氷の状況が良好で、これまでにない詳細な観測が実施できる見込みです」と期待を寄せており、気候変動の影響を直接把握する貴重な機会として注目されています。

観測船しらせでは、異なる水深から海水をくみ上げる作業も行われ、海洋環境の層別分析が進められています。これらのデータは、地球規模の気候変動研究に不可欠な知見を提供することが期待されています。