南極の海に浮かぶ氷の科学:氷山と海氷の形成過程を探る
2026年2月25日、南極の気候変動調査を行う「67次南極地域観測隊」に、朝日新聞の中山由美記者と杉浦奈実記者が同行しています。2025年12月から2026年3月までの期間、二つの航路(レグ1、レグ2)で気候変動の影響を詳細に調査する計画が進められています。本記事では、南極の海に浮かぶ多様な氷の形態、特に氷山と海氷の違いについて、科学的な観点から解説します。
大陸を覆う巨大な氷床の実態
南極大陸は、「氷床」と呼ばれる厚い氷の層に完全に覆われています。この氷床の規模は実に日本の約37倍に相当する約1400万平方キロメートル、平均厚さは約2000メートルにも及び、地球上で最大の氷の塊として知られています。南極観測船「しらせ」は、こうした氷山に囲まれた海域を航行し、海氷の上にはコウテイペンギンの姿も確認されています。
氷河と氷床の形成メカニズム
陸上に降り積もった雪は、自らの重さによって圧縮され、時間をかけて氷へと変化します。この氷が重力の影響でゆっくりと流動する現象を「氷河」と呼びます。氷床は、その中でも大陸規模の広がりを持つ氷河の集合体であり、南極のほかにはグリーンランドに存在します。
南極は極寒の地であるため、内陸部で降った雪は夏場でも溶けることなく、何層にも積み重なっていきます。南極氷床は中央部が盛り上がったドーム状の形状をしており、こうして形成された氷が自らの重量によって、内陸から沿岸部、そして海へと徐々に移動していきます。沿岸部に近づくにつれて、その移動速度は年間数キロメートルに達することもあります。
海へと流れ出る氷の運命
海まで到達した氷は、陸地から切り離され、氷山として海上に浮かびます。一方、海氷は海水が凍結して形成される氷であり、その過程で塩分が排出されるため、一般的に塩辛くありません。これに対し、氷山は元々陸上の雪や氷河から由来するため、淡水の氷として知られています。この違いが、南極の海洋生態系や気候変動に与える影響は大きく、観測隊の調査対象となっています。
南極の氷は、地球の気候システムにおいて重要な役割を果たしており、その融解や移動は海面上昇にも直結する問題です。67次南極地域観測隊の調査結果は、今後の気候変動対策に貴重なデータを提供することが期待されています。



