南極観測船「しらせ」、トッテン氷河沖で海洋観測を本格開始
南極観測船「しらせ」は、2026年1月末に昭和基地を離れ、約1週間かけて東へ航行し、トッテン氷河沖に到着しました。2月8日からは、同海域で本格的な海洋観測を継続しています。この観測は、67次南極地域観測隊による重要な調査活動の一環として実施されています。
氷山群に囲まれた船上での観測活動
南緯66度の海域では、無数の氷山が周囲を取り囲む中、観測隊員たちは海水のサンプリングや海底の堆積物、生物の採取を続けています。船上からは、様々な測器が海中に投入され、海洋環境の詳細なデータが収集されています。興味深いことに、観測中にはクジラが海面に近づき、白い腹を見せながら何度も船の周りを回る姿が確認されました。
巨大な氷山が次々と流れてくる中、船は右や左に舵を切りながら進みを続けています。その過程では、海氷の上にコウテイペンギンやアデリーペンギン、アザラシなどの野生生物も現れ、南極の豊かな生態系を目の当たりにしています。
トッテン氷河周辺の科学的意義
トッテン氷河周辺は、人工衛星の観測から大陸氷床の減少が確認されており、海洋との相互作用が特に注目されている地域です。これまでの調査では、沖合に暖かい海水の流入があることが判明していますが、今回の観測では海底の堆積物を分析することで、過去の海洋環境の変遷も探求しています。
67次隊で海洋地質学を専門とする鈴木克明さん(36)は、「大陸の氷床がいつどのように広がり、後退したかを過去のデータから解明し、将来の気候変動予測に役立てたい」と語っています。この研究は、大陸上の氷と海氷、海洋、大気が相互にどのように作用し、変動するかを明らかにすることを目指しています。
観測の背景と今後の展望
南極地域観測隊は、2025年12月に日本を出発し、2026年3月まで気候変動の影響などを調査する予定です。朝日新聞の中山由美記者らが同行取材を行い、南極の現状を記事や写真、動画で発信しています。今回の海洋観測は、地球環境の理解を深める上で極めて重要な役割を果たすと期待されています。



