福島県は、新たな観光振興策として、人工知能(AI)技術を積極的に活用する方針を明らかにした。この取り組みは、増加が見込まれる外国人観光客の誘致を主な目的としており、多言語対応の情報発信や、旅行者の嗜好に合わせた個別最適化された旅行プランの提案などを通じて、県内観光の魅力を効果的に伝えることを目指している。
AI活用の具体的な内容
具体的には、AIを搭載したチャットボットや音声案内システムを導入し、観光案内所や主要な観光スポットで多言語による情報提供を実現する。また、観光客の過去の行動データや国籍、年齢などの属性情報を分析し、一人ひとりに最適な観光ルートや体験プランを自動生成するシステムも開発中だ。これにより、リピーターの獲得や滞在期間の延長にもつなげたい考えだ。
2026年度からの本格運用を目指す
県は、2025年度中に実証実験を実施し、その結果を踏まえて2026年度からの本格運用を目指す。実証実験では、県内の複数の観光地でAIシステムを試験的に導入し、利用者の反応や効果を検証する。また、地元の観光事業者や宿泊施設とも連携し、AIを活用した新たなサービスの開発や、既存サービスの改善にも取り組む。
背景と期待される効果
福島県は、東日本大震災と原子力発電所事故の影響で観光客が減少した時期があったが、近年は復興の進展とともに観光客数は回復傾向にある。特に、外国人観光客の数は増加しており、2019年には過去最高を記録した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で再び減少したため、県は観光需要の早期回復と持続的な成長を目指している。
AI活用による観光振興策は、人手不足の解消や、よりきめ細かなサービス提供が可能になるという利点がある。また、多言語対応が進むことで、言語の壁を感じていた外国人観光客にも安心して訪れてもらえる環境を整えられる。県は、この取り組みを通じて、2027年までに外国人観光客数を震災前の水準に回復させる目標を掲げている。
地元からの期待の声
地元の観光関係者からは、この新たな取り組みに対する期待の声が上がっている。ある温泉旅館の経営者は、「外国人客の対応に苦労していたので、AIによる多言語案内は大変ありがたい。これでより多くの方に福島の魅力を知ってもらえると思う」と話す。一方で、技術導入に伴うコストや、AIに頼りすぎることによるサービスの画一化を懸念する声もあり、県はこれらの課題にも丁寧に対応していく方針だ。



