米国のサックス奏者で、「モダン・ジャズ最後の巨人」と称されたソニー・ロリンズさんが25日に死去した。日本が世界に誇るサックス奏者、渡辺貞夫さん(93)は、ロリンズさんを「憧れの人」と語り、ステージで共演した際にその音楽的姿勢から強い衝撃を受けたと振り返る。
ジャズ喫茶での出会い
ソニー・ロリンズの音楽との出会いは、1950年代の東京・有楽町にあったジャズ喫茶「コーヒーコンボ」だった。当時の渡辺さんは、コーヒー1杯30円が高かったため、6、7人のミュージシャン仲間と店の外でたむろし、漏れ聞こえるジャズに耳を傾けていた。ある日、店内でソニーのアルバムを聴き、すっかり心を奪われたという。
「オン・ア・スロー・ボート・トゥ・チャイナ」に魅了
特にアルバムに収録されていた「オン・ア・スロー・ボート・トゥ・チャイナ」に強く惹かれ、必死にコピーしたことを覚えている。当時、テナーサックス奏者は誰かのサイドマンとして演奏するのが一般的だったが、ロリンズは自身がリーダーのアルバムをリリース。「すごいテナーが現れた」と、若いミュージシャン仲間の間で大騒ぎになった。
初めて購入したアルバム
最初に買ったロリンズのアルバムは「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」だった。新宿のレコード店「マルミ」で、サングラスをかけた顔がアップになったかっこいいジャケットが目に飛び込んできた。当時の初任給が約7千円の時代に、LP1枚3800円は大金だった。ピアノも聴きたいと思ったが、そのアルバムはピアノレスの編成で購入を迷った。しかし憧れの人だったため、大枚をはたいて買い、聴き入った。
共演で受けた衝撃
渡辺さんはロリンズとステージで共演した際、その音楽的姿勢に強い感銘を受けた。ロリンズの音楽にはユーモアがあり、即興演奏の中に驚きと感動があったという。渡辺さんは「彼の演奏は常に新鮮で、予測不能な魅力があった」と振り返る。ロリンズの死を受け、渡辺さんは「ジャズ界の巨星を失った。彼の音楽は永遠に生き続ける」と悼んだ。
ソニー・ロリンズは、モダンジャズを代表するサックス奏者として数多くの名演を残し、後進に多大な影響を与えた。渡辺貞夫さんもその一人であり、二人の交流は日本のジャズ史に刻まれる。



