「最後の島」北センチネル島の謎に迫る書評
「最後の島」北センチネル島の謎に迫る書評

インド洋のベンガル湾に浮かぶアンダマン諸島の南西部に位置する「北センチネル島」。その存在を知る読者は、かなりの人類学通といえるだろう。2018年、キリスト教布教を試みたアメリカ人青年が島民に襲撃され死亡する事件が起き、世界的な注目を集めた。

外界との接触を拒む島

太古からこの島の名目的な支配者は変わってきた。19世紀半ばにはイギリスが、1970年以降はインド政府が領有権を主張する。しかし、島民は独自の生活を続け、近づく者には「制裁」を加える。島が小さくアクセスが不便なため、完全な植民地化は免れたが、周辺の島々は観光化が進み、食料を受け取る住民も現れている。

謎に包まれたセンチネル族

現在約200人とされる島民の言語は謎だらけで、ヤシの葉の小屋に住み、木製の矢で狩猟する生活の詳細は21世紀の今も不明だ。本書は島の歴史解説に加え、著者自身が二度にわたって島に接近した際の手記と貴重な写真を掲載。現代に残る「最後の島」の姿を興味深く綴る。翻訳も巧みで、読者を島へと誘う。笠井亮平訳、2640円。

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