「へええ、こういう写真があるんだねえ」。日本武道館で見つかった、1966年のビートルズ来日時に撮影された102枚の未公開写真には、内田裕也と共にステージ間近でビートルズ公演を鑑賞する様子が写っていた。誰の撮影かは「全然覚えていない。かなり近くから撮っていますから、スタッフの誰かでしょうか」と、60年前のビートルズ来日公演について思い出を語るのは、歌手・俳優の尾藤イサオ(82)。当時22歳だった。
前座としてステージに立ち、楽屋を抜け出して鑑賞
世界的バンドの前座として、同じステージに立った。出演後は楽屋で待機することになっていたが、「(ビートルズの来日公演は全5公演行われ)僕と裕也さんは毎回ひゅっと抜けてステージ前に出た。だから、関係者がパイプ椅子を用意してくれた」と尾藤は振り返る。ギターのチューニングを済ませたジョン・レノンはマイクの前に立ったかと思うと、いきなり「ロック・アンド・ロール・ミュージック」を爆発的な声で歌い始めた。「もうそれ一発で僕は参りましたね」と、その衝撃を語る。
プレゼントを渡そうとしたが、警備に阻まれる
ビートルズに何かプレゼントしようと、昼と夜の公演の間に銀座に行き、ストライプのシャツを4枚買った。武道館内の楽屋の手前まで行ったところで、プロモーターの協同企画の担当者から「イサオちゃん! 何やってんだよ!」と強く止められた。「裕也さんは『お前、ふざけんじゃねえぞ』って、とっくみあいのケンカになっていましたけどね」と尾藤は笑いながら当時を振り返る。
記憶によると、それは公演2日目、66年7月1日の夜公演前の出来事。ライブを見る2人の写真は同日昼の撮影なので、その後、シャツを買いに行き、夜公演前に渡そうとした、という流れだ。くしくもこの日の午前、レノンらが宿泊先のホテルを脱出。未公開写真には、警備を担当した警視庁幹部が主催者側に抗議しているとみられる様子も写っていた。つまり2人の楽屋来訪は、警視庁の“激怒”の後、最も警備が厳しくなったタイミングだったのかもしれない。「警備はそれはすごいものでしたが、そんなつながりだったとは」と尾藤は驚いていた。
写真展とトークショーの開催
写真展「読売新聞が撮ったビートルズ 来日60年」が6月17日から7月14日まで、東京・大手町の読売新聞ビル3階よみうりギャラリーで開かれる。入場無料。読売新聞の写真部員らが撮影した1966年の来日時のビートルズの写真を展示。チケットやパンフレットなど、来日公演にまつわる品々も並ぶ。午前10時~午後5時、土日休み。
7月5日午後1時から、トークショー「102枚のビートルズ未公開写真 ~鑑定人と担当記者が語る 発見から記事掲載まで~」も開催。ビートルズ日本史研究家の大村亨氏と、読売新聞文化部記者が、日本武道館で見つかった来日時の未公開写真について、調査の経緯と写真からわかったことについて語り合う。読売新聞ビル3階「新聞教室」で。聴講無料で抽選制。応募は https://yomicul.yomiuri.co.jp/beatles から(読売IDの登録が必要)。6月28日締め切り。



