クランチロール・アニメアワード10回目、投票数40%増の7300万票に
クランチロール・アニメアワード10回目、投票数40%増

米国企業クランチロールが主催する「クランチロール・アニメアワード」が今年、10回目の節目を迎えた。この賞の最大の特徴は、世界中のアニメファンが投票し、最も優れた日本のアニメ作品や制作者を表彰する点にある。主催するクランチロールのチーフ・コンテンツ・オフィサー(CCO)、末平アサ氏に、賞の狙いや日本アニメの現状について聞いた。

「僕のヒーローアカデミア」が最高賞を受賞

シリーズアニメの最高賞「アニメ・オブ・ザ・イヤー」は、『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が受賞した。総監督の長崎健司氏は5月23日に東京都内で開かれた授賞式で、「放送開始から10年を迎え、昨年無事に終了しました。その集大成として今回の賞をいただけて本当にうれしい」と喜びを語った。

小さなバーから始まったイベント

アニメアワードは2017年、「アニメを作るクリエイターに世界中のファンの声を届けたい」という思いから始まった。末平氏は「創設当初はサンフランシスコの小さなバーの一角を借り切って、アットホームな雰囲気のイベントだった」と振り返る。しかし、2023年から授賞式が日本で開催されるようになり、現在のような大規模なイベントに成長した。「以前はクリエイターが授賞式に直接参加することは少なかったが、今は監督をはじめ多くの人が参加してくれるようになった。制作のモチベーションにつながっている」と手応えを語る。

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投票数が大幅増、過去最多の7300万票

賞の対象は、主に日本で制作され、前年の1年間に日本で放送・配信、劇場公開された作品など。審査員による選出とファン投票を経て32部門の受賞者が決まる。節目となる今回は、投票数が昨年から約40%増の過去最多7300万票に達した。主な投票国はブラジル、ドイツ、インド、メキシコ、米国。末平氏は「アニメ=日本から来ている作品というイメージが強い。海外ファンにとって、カートゥーンとアニメの違いは明確だ。さらに若い世代にとって、アニメは文化的なアイコンにまで成長している」と分析する。

世界同時展開がトレンドに

最近のトレンドは作品の世界同時ヒットだ。「一昔前は日本でヒットしてから海外に波及したが、今は配信と同時に世界中で話題になる作品が増えている」。そのため、力を入れるべきは「世界同時展開」だと末平氏は言う。「配信してヒットするタイミングでグッズ化などができるよう、早い段階で準備する必要がある」。クランチロールは昨秋からデジタル漫画サービスも開始し、原作からアニメへの誘導を図っている。

海外市場は拡大傾向

日本動画協会の「アニメ産業レポート2025」によると、2024年の日本アニメの海外市場規模は前年比26%増の約2兆1700億円と増加傾向にある。末平氏は「日本のクリエイターは世界中のファンを魅了しており、今ほどアニメファンにとって素晴らしい時代はない」と語る。アワードの注目度が増すことで、「あらゆるジャンル、あらゆるクリエイターにスポットライトが当たり、ファンとの接点を増やすイベントにしたい」と意気込む。

授賞式は豪華な雰囲気

授賞式には国内外の俳優やアーティストが集い、海外の映画祭を思わせる華やかな雰囲気の中で開催された。これまであまり表に出てこなかったクリエイターたちも登場した。

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最も支持されたアニメ映画に贈られる「フィルム・オブ・ザ・イヤー」は、国内興行収入400億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が受賞。監督の外崎春雄氏は「日本のみならず、世界中の人に見てもらえるのは本当にうれしい」と喜びを語った。撮影監督の寺尾優一氏も「たくさんのチャレンジがあり、最後まで作りきれるかドキドキした。無限城の中の鬼殺隊隊員のように、いつか勝てると思って作り続けた」と振り返った。

また、アニメ主題歌を手がけたアーティストも華々しく登場。ディーン・フジオカさんはオープニングで、第1回アニメ・オブ・ザ・イヤー受賞作『ユーリ!!! on ICE』の主題歌「History Maker」を披露。ポルノグラフィティやASIAN KUNG-FU GENERATIONも迫力のライブで盛り上げた。

クランチロールとは

クランチロールは、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントとソニー・ミュージックエンタテインメントの傘下で、アニプレックスによる合弁会社。日本以外の多くの国・地域でアニメ中心の配信サービスを展開し、有料会員数は5月時点で2100万人を突破。5万話以上のエピソードを有し、17以上の言語に対応している。