『子どもに寄り添いたい教師(あなた)へ』書評 教室を安心できる場に
『子どもに寄り添いたい教師』書評 教室を安心できる場に

もし、今の教育に少しでも違和感や息苦しさを感じているなら、この一冊を手に取ってみてほしい。『子どもに寄り添いたい 教師(あなた)へ』(谷尻治/木村哲郎編著、高文研)は、正しさを押しつけるのではなく、迷いながらも誰かと向き合おうとする大人の姿を静かに紡ぎ出す。

「ゆるい」学年がもたらす安心感

「誰もが安心できる『ゆるい』学年にしたい」――この言葉が胸に響く。きちんとしていることやルールよりも、「ここにいていい」と思える空気を大切にしたいという想い。子どもは教えられる存在である前に、安心できる場所を必要としているのだと、そっと気づかされる。

教師だけではない、すべての大人へ

「一人で解決しようとしないこと」「環境が人を変えること」。こうした言葉は、教師だけではなく、今を生きる私たちにも向けられているように感じた。気がつけば、「一人で頑張ること」が当たり前になってはいないか。私は教育の現場にいるわけではない。それでも、学校生活の中で「この先生と話してみたい」と思えた記憶がある。強い言葉ではなく、ただ受け止めてもらえた時間。そのときに感じた安心が、今も自分の中に残っている。

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子どもたちの多様な背景と教師の葛藤

教室にいる子どもたちは、それぞれ違う背景を抱えている。家庭環境も、置かれている状況も、一人ひとり違う。施設から学校に通っている子もいるかもしれない。子どもたちは、教科書には載らない人生を背負いながら、それぞれが同じ教室にいる。そして、教室に立つ教師もまた、見えないところで傷や葛藤を抱えている。長時間労働や業務の多さの中で、「教師になりたい」と願いながらも、その道を離れてしまう人がいる現実がある。

「一人で背負わなくていい」というメッセージ

だからこそ、「一人で背負わなくていい」という言葉を、この本はアナタに届けている。完璧であることよりも、目の前の一人と向き合おうとすること。その積み重ねが、教室の空気を少しずつ、やわらかくしていくのだと。

(2420円)

読書委員プロフィル:サヘル・ローズ。1985年生まれ。俳優。イラン・イラク戦争で戦争孤児となり、テヘランの児童養護施設で育つ。8歳で養母と来日。映画や舞台などの芸能活動以外にも、難民キャンプなどを訪れ支援活動を行っている。

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