「夫婦仲が悪く離婚する」と聞かされ不倫…慰謝料支払い義務を争う訴訟が最高裁で審理
既婚者の女性から「夫婦仲が悪く離婚する」と聞かされて肉体関係を持った男性が、不倫の慰謝料を女性の夫に支払う義務を負うかどうかを争う訴訟の上告審弁論が10日、最高裁判所第2小法廷(尾島明裁判長)で行われました。この訴訟は、婚姻関係の破綻を主張する男性と、慰謝料の支払いを求める夫との間で激しく争われており、判決は6月5日に言い渡される予定です。
2審判決は男性に55万円の慰謝料支払いを命令
高松高等裁判所による2審判決によると、女性は雇用主だった男性に夫婦仲の悩みを相談するうちに好意を抱くようになり、一部を記入した離婚届を見せて離婚する意向を伝えました。その後、女性は実際に夫と離婚しています。
夫が男性を提訴したこの訴訟では、2024年の1審・高松地方裁判所丸亀支部判決が請求を棄却しましたが、2025年の2審判決は男性に慰謝料などの支払いを命じる判断を示しました。2審判決は「婚姻関係が破綻しているとうそを言って不貞行為に及ぶ者が多いことは社会一般に知られており、女性の言葉をうのみにするのは注意が足りない」として、男性の過失を認定。慰謝料など合計55万円の支払いを命じています。
男性側は「婚姻関係は破綻」と主張、夫側は2審判断の正当性を訴える
10日の最高裁での弁論で、男性側は「女性から夫婦仲の悪さを相談され、それを裏付ける夫婦間のメールのやりとりや離婚届も見せられていた」と主張。婚姻関係が実質的に破綻していると認識していたため、慰謝料を支払う義務はないと訴えました。
一方、夫側は「2審の判断は相当であり、婚姻関係が継続している中での不貞行為には慰謝料請求権が認められるべきだ」と述べ、判決の維持を求めました。両者の主張を聞いた裁判はこの日で結審し、6月5日の判決言い渡しを待つことになりました。
婚姻関係の破綻認識と慰謝料責任の境界線が焦点に
この訴訟の争点は、「婚姻関係が破綻している」という認識が、第三者である男性の慰謝料支払い義務を免責する理由になるかどうかです。2審判決は、婚姻関係の破綻を装った不貞行為が社会に蔓延している現状を指摘し、男性に一定の注意義務を課す判断を示しました。
最高裁の判断は、今後の類似事例にも影響を与える可能性があり、婚姻関係の外にいる第三者が、配偶者の不貞行為についてどの程度の責任を負うべきかという法的な基準を示すことになります。判決まで約2カ月、法律関係者や社会の注目が集まっています。



