愛知「下町ロケット」経理部長のように会計で隊員を幸せに 空自小牧基地司令・木村政和さん
愛知「下町ロケット」経理部長のように会計で隊員を幸せに 空自小牧基地司令

会計の道を選んだきっかけ

航空自衛隊幹部候補生学校(奈良市)を卒業する際、区隊長に「色弱が最も影響しにくい職域を選びたい」と相談し、会計を勧められたことが始まりでした。当時は会計に詳しくなかったものの、数字が好きだったことから、これまでほとんど会計の仕事に携わってきました。

「下町ロケット」に登場する経理部長に共感したと話す木村さん=小牧市の航空自衛隊小牧基地で

ドラマ「下町ロケット」との出会い

航空幕僚監部の総務部会計課で予算班長を務めていた2015年、テレビでドラマ「下町ロケット」を視聴しました。原作が直木賞作品であることから、面白いだろうと期待していました。ロケット製造に関する内容であれば、空自とも共通点があるのではないかと考えました。

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「下町ロケット」は、中小企業の佃製作所が、大企業との技術競争や特許問題、資金繰りといった困難に直面しながらも、ものづくりへの誇りを胸に挑戦し続ける姿を描いています。技術者たちが開発に没頭する様子は、小牧基地の整備士たちが航空機などの不具合の原因を徹底的に究明する姿と重なります。

経理部長・殿村直弘への共感

当初は社長の佃航平(阿部寛)ら技術者の熱い物語として見ていましたが、次第に経理部長・殿村直弘(立川談春)に心引かれるようになりました。会社が資金難に陥る中、殿村が研究開発費を削るよう佃に求める場面があります。一見冷酷に見えますが、その裏には「会社をつぶさない」「仲間の生活を守る」という強い思いがあり、それに共感しました。

木村さん自身も、仲間たちからの予算要求に対して「本当にそれだけ必要なのか」「もっと安くならないのか」と嫌われるような質問をしなければならない立場でした。性格的にはあまりしたくないが、一つ一つの経費を削って少しでも多くの事業を予算化することで、より多くの隊員を幸せにしたいとの思いからです。各地の会計担当者とのオンライン会議で「下町ロケットの殿村部長のように、組織をお金の面で支えてほしい」と話したこともあります。

自衛官としてのやりがい

自衛官にとって、佃製作所の技術者たちが持っていた「夢」や「憧れ」も重要な要素です。働きやすい環境の整備はもちろんですが、それだけでは不十分です。例えば「在外邦人の退避に関わりたい」などの目標に向けて、少しずつ技量や知識を高め、ステップを踏んでいくことがやりがいにつながるはずです。

基地司令になってからは、隊員のモチベーションを高めるために、週1回程度、所属する全隊員に対して「この隊員のこの取り組みが良かった」といった内容のメールを送っています。国のために頑張ろうと働いてくれる皆さんなので、褒められて悪い気はしていないと思います。

聞き手・三宅駿平

プロフィール

きむら・まさかず 1972年生まれ、北海道函館市出身。「たくさんの職種があり、自分のやりたい仕事を見つけられそうだから」と自衛官を志した。青森地方協力本部長、航空幕僚監部総務部会計課長、第4補給処長などを経て、2025年12月から小牧基地司令。階級は空将補。

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