「ガチ中華」の魅力と新華僑の実像に迫る書評
「ガチ中華」の魅力と新華僑の実像に迫る書評

最近、気づけばランチも夕食も「ガチ中華」という日々が増えている。茹でた鶏肉に醤油をかけただけのシンプルなご飯は、早くて美味い。夜は蘭州牛肉麺。打ち立ての麺に辛めのスープがよく合う。

ガチ中華の世界

久しぶりに酒を酌み交わす教え子との集まりも、休日の家族ランチも、羊肉が主役だ。慣れ親しんだ町中華とは似て非なるガチ中華の世界に、私はすっかり虜になっている。

ガチ中華とは、現在の中国大陸で好まれている料理が、そのまま日本に平行移動してきたようなもの。日本風にアレンジされていない。例えば、エビチリは赤くない。羊は丸焼きもあれば串もある。だからこそ、留学生も郷愁を感じるという。

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本書の魅力

中村正人著『ガチ中華移民 日本で増殖する『本場中華料理』の謎』(太田出版、2640円)は、ガチ中華を地方ごとの特色で説明するだけでなく、作り手であり顧客でもある中国からの新華僑たちとの会話も紹介しており、なかなかに楽しい一冊だ。

日中関係は政治だけではない。互いの文化を楽しむことも重要な「関係」である。食卓にある自由を私は大切にしたい。

評者プロフィル

佐橋亮(さはし・りょう) 1978年生まれの東京大教授。東アジアの国際関係や国際秩序を中心に研究する国際政治学者。著書に『共存の模索 アメリカと「2つの中国」の冷戦史』(勁草書房)『米中対立』(中公新書)など。日本台湾学会賞などを受賞。

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