市川染五郎、大役に次々挑む覚悟と喜び 歌舞伎俳優としての成長
市川染五郎、大役に次々挑む覚悟と喜び

歌舞伎俳優の市川染五郎が、次々と大役に挑戦し続ける覚悟と喜びを語った。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)では、源頼朝のライバル・木曽義仲の嫡男である義高を演じ、悲劇の美少年像を見事に体現。現代劇に初挑戦したドラマ「人間標本」(Amazonプライムビデオ)でも、その美しさを存分に発揮した。

初舞台から20年、本格的な継承の道

2009年、四代目松本金太郎として歌舞伎座で初舞台を踏んだ際、祖父の松本白鸚は口上で「皆様方の前で数々のお役を勤めるには、20、30年はかかると存じます」と述べた。それから20年も経たないうちに、染五郎は若手花形の先陣を切り、次々と大役に挑んでいる。「高麗屋(松本幸四郎家)の芸をつないでいく道のりが、本格的に始まったのかなという感じがしています」と穏やかな語り口に強い覚悟がにじむ。

武将役での存在感

「今はいろいろな挑戦をする時期。でもなんとなく、骨太で男っぽい役が向いているのかなと思う」と照れくさそうに語る。本能寺の変を題材にした「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場」では、主君を討った後に母と息子の死に直面する武智光秀を勤め、「梶原平三誉石切」では知と情を兼ね備えた梶原景時を堂々と演じた。光秀は高祖父・七代目松本幸四郎から代々演じられ、梶原は同じく高祖父・初代中村吉右衛門が確立した「播磨屋型」がある縁の深い役。時代物の役に悲哀や葛藤をにじませ、生身の人間として息づかせるのが播磨屋型の特徴だ。

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大役への挑戦と葛藤

昨年、松竹創業130周年記念として歌舞伎座で通し上演された「菅原伝授手習鑑」では、学問の神様・菅丞相(菅原道真)に仕え、その子どもをかくまう武部源蔵を、父の松本幸四郎とダブルキャストで演じた。20歳で抜てきされた際、「誰がどう見ても身に余る。自分が歌舞伎座で勤めていいのか」と悩んだが、「挑戦できる」喜びの方が勝ったと振り返る。原動力となったのは「うちが代々やってきた役が好き」という熱い思い。「プレッシャーはいつも感じますけど、人間味を大事にするうちの芸が好きなんです」とはにかんだ。

果てしない芸の道

源蔵は今も勤めきった実感がなく、3度演じた「勧進帳」の義経も「本当に難しいのはこれから」と痛感する。人生をかけて芸を磨く果てしない旅は、まだ始まったばかりだ。

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